北海道3大ラーメンと小樽ラーメンの場外戦

 札幌は味噌、函館は塩、旭川は醤油。北海道はラーメンのメッカだが、その中でもこの三つの都市は別格といっていい。「北海道3大ラーメン」といえば、この3都市の名前が冠されている。

いずれもとんこつベースの濃厚なスープが基本にある。しかも、看板はそれぞれ味噌、塩、醤油だが、実際にはこの三つの味がメニューに揃っている。札幌は味噌が看板だが、塩や醤油も実にうまい。函館、旭川も同じで、「塩しかありません」とか「醤油しかありません」という店は極めて少ない。

この三つの味をベースにして、それぞれの店が個性を出して、競い合っている。こういう「三種混合型ラーメン地帯」は北海道だけだろう。明治維新後、全国各地から開拓移民を受け入れて発展した北海道ならではのスケールのでかさともいえる。

今やラーメン戦国時代。この牙城に割って入ろうとしているのが、小樽など新興戦国大名だ。赤羽彦作村長は小樽が大好きで、エンターテインメント新聞社記者時代に、札幌に行ったついでによく足を運んだ。クルマで30分ほどの距離。寿司屋通りでやや高めの寿司をほおばり、天狗山に登っては小樽ワインを飲みながら、鱒のステーキをがっついた。いい気なもんだった。「札幌の人もうまい魚を食べたいときは、小樽に行くんですよ。札幌より安くて鮮度がいいんですよ」タクシーの運転手のそんな話が頭をよぎる。

「春日部に小樽ラーメンの店ができた。東京ラーメンショーにも参加して、評判にもなった店よ。小樽好きの村長なら行かなくちゃ」

美熟女の村民2号と文吾ジイがダブルでささやいてきた。うむ。行かない理由はない。文吾ジイの今日のいでたちは麦わら帽子に浴衣姿。裾の合間から少々黄色くなったふんどしが見え隠れしているのが情けない。美熟女も負けじとピチピチの短パン姿。年齢をまったく考えていないところが恐ろしい。彦作村長は作務衣姿。なぜか泥棒みたいにほお被りしている。警察の職務質問を警戒しているつもりだが、返って怪しすぎるということに気が付かない。掛け値なしに怪しい三人組。

          小樽ラーメン① 

愛馬のポンコツ車を飛ばして、メーンストリートの横に急ブレーキ。「小樽らーめん 豆の木」に着いたのだった。中に入ると、大きなテーブルが4つ、それにカウンター席。お昼前だったので、意外とすいていた。メニューは醤油、味噌、塩がそれぞれあり、小樽ラーメンといっても、北海道ラーメンの手のひらの上にあり、むしろ札幌ラーメンに近い印象。怪しい三人組はテーブル席に座ると、メニューの中から一番安い「しょうゆ」(550円)を選んだ。

「手打ち麵と小樽麵、どっちにしますか?」茶髪の女店員が聞いてくる。
「どう違うの?」と村民2号。
「手打ちは太麺で、小樽麵は卵が入っていて、ツルリとしてます」
「ツルリは嫌だ。手打ちがいい」なぜかほお被りを取らない彦作村長。
「手打ちで手打ちにするか」と意味不明の文吾ジイ。
「ワタシはツルリがいい。2人とも手打ちに致すわよ」とこちらも意味不明の村民2号。

          小樽ラーメン⑤ 


小樽醤油ラーメンがやってきた。550円という価格設定と茶髪女店員の様子から、村長の期待度は低かった。だが、目の前の醤油ラーメンは意外な存在感を示していた。何よりもチャーシューが大きくて、しかも色合いがかなりのレベル。見るからにうまそうなのである。白ネギ、刻みネギ、もやし、それに大きい海苔がわきを固めている。

彦作村長は期待値を上げた。まずスープ。魚介類のダシが効いていて、しかもあっさりした深みが立ち上がってくる。酢が入っているのか、まろやかな酸味が「いい奥行き」となっている。麵は太麺で少々縮れている。しかもコシの具合もいい。でっかいチャーシューをがぶり。硬くもなく柔らかくもなく、多分肩ロースだろう、脂肪分の割合もよく考えられていて、店主のラーメンにかける心意気が感じられる。店主はイタリアンシェフから、ラーメンの世界に入ってきたという経歴の持ち主だそう。チャーシューやスープへのこだわりの秘密が見えた気がした。

          小樽ラーメン③ 

「最初はハズレかな、って思ったけど、当たりだったわね」
「ツルリ麵もうまかったんじゃな。ワシの手打ち麺はなかなかの味じゃよ」
「550円でこの内容はマルだなあ。村民2号と文吾ジイに感謝するよ」
「感謝だけ?次は本物の小樽に連れてってよ。寿司も食べたいし、運河も見たい」
「ワシも連れてってもらおうかな。もう先も長くはないし。天狗山でワインを飲みたい。石原裕次郎記念館にも行ってみたい。小樽のネエちゃんとも交流を深めたい」
怪しい三人組の内紛が始まりかけていた。


本日の大金言。

小樽は夜景もいい。函館ほど華やかではないが、その分、しみじみと人生を感じられる。ひまわりよりも月見草。


                     小樽ラーメン② 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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