別次元の「自家製生麺やきそば」

ペンクラブの懇親パーティーに行く前に、神田・神保町の焼きそば屋に立ち寄ることにした。
「神保町に来たら、いっぺん行ってみるといいよ。栃木のジャガイモ入り焼きそばとは別次元の味だよ。凄い行列だから、覚悟してね(笑)」
出版社の食通友人が村長をからかうように、かようなことをほざいていたからである。

午後4時半。「売り切れご免」の店で、テレビや雑誌でも取り上げられて、それがさらに人気を加速しているそう。神保町交差点から白山通りに出て、しばらく行くと、左手に「自家製生めんやきそば専門 みかさ」の暖簾が見えた。悪くない店構え。創業昭和59年と書いてあるが、もっと新しい店に見える。時間が時間のせいか、行列は2人ほど。「シメた、ラッキー」と思った。
              みかさ① 
              タッチアウトか?

写真を撮っていると、店から黒ずくめのスタッフが出てきて、「本日終了です のプレートを置こうとした。しまった! 慌てて、「冥王星からここまで来たんです。どうか入れてください」懇願すると、苦笑しながら、「お一人ですか、いいですよ」のお返事。人生一寸先に何があるかわからない。店は9人しか座れないカウンターのみ。先客は7人ほど。
              みかさ② 
              並も大も同じ値段

奥が厨房になっていて、2人のスタッフがいた。一人が大鍋で生めんを茹で上げ、もう一人が鉄板で焼きそばづくりを分担していた。券売機で「ソース 並」(700円)を頼むことにした。「塩」にも心が動いたが、ここはまずは定番で行かねばならない。
              みかさ1 
              カウンター席のみ

13~4分ほどの待ち時間で、「ソース(並)」がいい匂いを発散させながらやってきた。そのビジュアルに軽く驚く。楕円形のスチール皿に小高い山のような生麺焼きそばがジュウジュウと音を立てるように盛り上がっていた。見事なソース色の世界。頂上には半熟たまご焼きが乗って、手前にはカリカリに焼いた豚バラ肉が5~6枚。向こう側には千切りにした長ネギがどっさり。青のりが盛大にかかっていた。
              みかさ④ 
              オオオの登場
              みかさ⑤ 
              上空より
              みかさ⑥ 
              ため息の世界

見ようによっては広島風お好み焼きのようで、違うのはその下の生麺焼きそば。箸でグイとすくってみる。具はもやしとキャベツだが、平打ち太麺の存在感にため息が出そうになる。白河ラーメンのような縮れ麺で、ソースのテカりが生々しい。まずはひと口。まさにソース焼きそばだが、八角のような匂いがかすかに鼻腔をくすぐる。中華のエキスも取り入れている? うむ。
              みかさ⑨ 
              自家製生麺どす

ソースは何か隠し味が入っているに違いない。醤油とかオイスターソースあたりか。麺のもっちり感とソースのコテコテ感。半熟玉子焼き、千切りネギ、ベーコンのような豚バラ肉のカリカリ感が、アルゼンチンタンゴのように濃厚に絡んでくる。しばらくすると、ソースの奥からスパイシーさが口中一杯に広がってきた。水をガブッと飲む。確かに旨いが、味がかなり濃い。
              みかさ10 
              半熟卵焼き
              みかさ⑦ 
              豚バラ肉
              みかさ11 
              辛子マヨネーズ

友人が言うように栃木市のジャガイモ入り焼きそばとは次元が違う。脂はラードか、あるいは豚バラ肉の脂を使っているに違いない。麺は北海道産の国産小麦粉を使った自家製で、そのため「いっぱい作れないので、売切れ次第終了にさせていただいているんです」(店長)。ソースも自家製で、「3種類使っています」(同)。これだけのこだわりの焼きそば専門店は他に知らない。

食べ終えると、かなりの満腹感と満足感に襲われた。店長に聞いてみる。
「何系の焼きそばなんだろう?」
「特にないですよ。強いて言えば、先代が熊本なので、その時の味でもあるんです。ここに来てちょうど2年になります。昭和59年創業というのはその熊本の店から、ということなんです」
ソースと八角のかすかな匂いとスパイシーな刺激が口中に残ったまま、ヨタヨタと如水会館へと急いだ。白ワインを早く飲みたくなった。

本日の大金言。

那須塩原のソースラーメン、会津若松のソースかつ丼、神保町のソース焼きそば。醤油文化とは違うソースの新世界。すでに新しい物語が始まっている。



                        みかさ12 

















スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

先代は高田馬場へ

私もよくいきます。
ただ先代(創業者)が抜けてからは、イマイチ感があり残念。
その先代は高田馬場でこっそりと更なる超越バージョンのやきそば屋をやってるとの話なんで、今探しているとこなんです。
先に見つけたら、ショクレポお願いします。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR