秘湯の安宿「地もの料理」

 忘れるところだった。奥塩原温泉郷の秘湯宿をこっそりご紹介したい。ウマズイめんくい村の怪しい一行が泊まったのは「湯荘白樺」。日塩もみじラインの途中にある部屋数15ほどのやや裏さびれた温泉宿だが、ここの檜(ひのき)の風呂が飛び切りよかった。村長がこれまで入った源泉掛け流し湯の中でベスト3に入る。

財政事情から「とにかく安くていい宿を探そうね」と、それまでよく泊まっていた「那須山荘」や板室温泉「大黒屋」は今回は敬遠。村長の取材力をフル回転して、一人1泊2食付7000円(6畳一間、税抜)の「湯荘白樺」を見つけた。奥塩原新湯温泉は江戸時代中期に発見された秘湯で、周辺には4軒の旅館がある。「湯荘白樺」はその中でも一番安い。しかも元湯がすぐそばにあり、硫黄の匂いとともに噴煙(水蒸気)が上がっている。ポエム。
              湯荘白樺① 
          硫黄の匂いのする秘湯の宿

硫黄の匂いがどこか心地よい。チェックインするなり、檜風呂に入る。大人の男性が5~6人ほどしか入れないこじんまりとした檜の湯船。そこに乳白色の硫黄泉が揺蕩っていた。かなり熱い。湯口には太い木の枝が差し込まれていて、それで流れ込む源泉を調節している。温度調節も兼ねているようで、空気に触れる時間を長くすることによって、42~44度を保っている。村長が初めて見る、あまりに素朴な世界。
              那須塩原① 
              極上の源泉掛け流し

入った瞬間、なめらかさと体を包み込む感触、さらに毛穴に滲みこんでくるような泉質・・・・ぎっくり腰常習の村長にとってはかなりの効用。単純酸性硫黄泉なので草津の湯とも似ているが、硫化水素も含んでいて、その卵の腐ったような匂いは強烈でさえある。湯の花が沈殿し、泥化していて、バケツに入ったそれを体に塗ると、効用がさらに高まるそう。ここには無上の秘湯の楽しみ感がある。

歩いて行ける距離には「むじなの湯」他3つの源泉掛け流しの共同浴場もある。それぞれ泉質が微妙に違う。寒風の中、石段を90段ほど下がった場所にある「むじなの湯」にも入ったが、体に突き刺さってくるような源泉は注意が必要。村長は湯当たりしてしまい、30分ほど横になったほど。
              湯荘白樺② 
              予想以上の夕飯

さて、この「湯荘白樺」の夕飯が予想以上によかった。安い旅館なので期待していなかった分、感動もひとしお。食堂がないので、部屋に運んでくれる。御膳には煮物、鶏のホイール焼き、豚肉の鍋物、刺身、蓮根の和え物、サラダ、お新香、デザートの自家製杏仁豆腐が並ぶ。それにご飯とみそ汁。

家庭的だが予想以上の味だったので、女将に聞いたら、「魚以外はすべて地場産なんです。野菜も豚肉も地場のものです」とか。煮物の大根も知る人ぞ知る奥塩原高原大根で、そのほどよい固さと甘みが美味。ホイール焼きの鶏肉と長ネギ、鍋物(陶板焼き)の豚ロース肉と大根おろし。それらも素材は地場もの。どちらも味付けは甘辛で、もう少し砂糖の量を少なくした方が好みだが、村民2号は「この味付けが牧歌的でいいのよ」
              湯荘白樺⑤ 
              ええのうタイム
              湯荘白樺⑥ 
              奥塩原高原大根
              湯荘白樺③ 
              鶏胸肉と長ネギ
              湯荘白樺⑨ 
              豚肉の旨さ
                                                      湯荘白樺12 
                                   湧水で炊いたご飯


地酒の純米大吟醸「天鷹心」をチビチビやりながら、秘湯の料理をつつく。硫黄泉で火照った体に一刻の幸せを流し込む。ぜい沢過ぎる時間でねえの。

「ここは当たりね。見晴らしもいいし、何よりも温泉が素晴らしい。紅葉はすっかり終わって、雪もちらほら舞ってるわ。隠れた温泉宿としてはここはまさに穴場だと思う。トイレと洗面所が共同なことだけが残念だけど」
「それも含めて、ここは確かに穴場だ。ウマズイめんくい村指定の宿にしよう」
「ベンガル虎と白クマのはく製の置物には驚いたわ。そうそう村長もお願いして、はく製にしてもらったら? 誰も見ないけど(笑)」
「んーん、ダッフンだァ・・・・・・」
「もう聞き飽きたわよ」

本日の大金言。

安くていい宿は探せばある。多少の欠点は目をつぶれば、そこが小さな天国になる。幸せはどこにでもある。ただ気がつかないだけかもしれない。



                          湯荘白樺14 



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僻地より

辻山教授、コメントありがとうございます。村民2号に伝えたら、跳び上がって喜んでおりました。行く機会が限られていますが、今度はGK先生も交えて、また京都・大阪あたりで歓談したいと思います。謝々。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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