これぞデパ地下の至福、日本橋高島屋の巻

 デパ地下。B級ぐるまにあ(グルメマニアの新語のつもり)にとって、この四文字ほど胸躍らせる場所はない。敷居が高く、値段も高くて普通なら手に負えない老舗が比較的安くテイクアウトしてくれたり、日本中の旨いものが一堂に会したりしている。赤羽彦作村長は、宮仕え時代も、ヒマさえあれば、銀座、日本橋あたりのデパ地下を歩き回っていた。銀座三越の地下で買った「十勝おはぎ」の絶妙、八重洲大丸で手に入れた鯖寿司の圧巻、挙げればきりがない。

日本橋高島屋で開催されている「バーナード・リーチ展」を見終わった後、彦作村長は久しぶりにデパ地下に足を延ばした。この一角にある「銘菓百選」コーナーが目当てだった。
きんつばで有名な金沢の中田屋など地方の老舗がしのぎを削っている中に、東京下町・三ノ輪の「花月堂本店」の豆大福が置いてある。日によっては午前中で売り切れてしまうほどの人気。しかも「賞味期限は本日中」というレアもの。


          日本橋高島屋⑥ 


花月堂は明治4年創業の和菓子屋の老舗で、今では豆大福が看板商品の一つ。虎ノ門岡埜栄泉、護国寺群林堂、原宿瑞穂といった東京・豆大福御三家に迫るポジションにいる老舗でもある。タッチの差で間に合った。豆大福のつぶしあんが1パックだけ残っていた。こしあんは売り切れていた。両方を比較したかったが、彦作村長はかつて三ノ輪の本店に足を運んで賞味したことがあるので、つぶしあんが残っていたことで我慢することに。2個入り1パック(1個180円=360円)を買い込む。

さらに、あちこち歩き回る。見るからにうまそうなコロッケを彦作センサーが捉えた。神戸串乃家の「十勝産牛肉コロッケ」。こちらも2個ゲット。こちらも1個180円(消費税込みで189円)。コロッケは彦作村長の幼少時代からの好物で、学校帰りに肉屋で揚げたてのコロッケを買ってきてはこっそり食べる。安いうえに、そのうまさは格別だった。あの手塚治虫も一目置いた天才漫画家・杉浦茂の登場人物「コロッケ五円の助」のファンでもあった。杉浦茂の漫画は実に不思議な漫画で、登場人物がシュールでミョーなのである。「でるとまけぞう」というヘンな剣豪も面白かった。幼少時の洗礼は強烈で、赤羽彦作がヘンなものやミョーなものについつい惹かれてしまうのは、この杉浦茂の原体験が大きいと今では思う。


          日本橋高島屋① 


その安かったコロッケが189円とは。ここまで来るとコロッケはもはや庶民の味ではない。しかもそれを買ってしまう食い意地って何だろう。それでも外食するよりは安い。そう言い聞かせて、ウマズイめんくい村に持ち帰って、賞味することになった。

まずは花月堂の豆大福。大きさは群林堂や瑞穂と同じくらいで、やや大きめ。特筆すべきは餅だろう。まるでつき立て。手で割ろうとすると、「あなたとは離れられないわ」とベタッとくっついてくる。赤えんどうはほどよい固さ。それに北海道産の小豆で作った粒あんが香り立つよう。控えめな甘さがいい。日本橋高島屋で人気なのも納得の味だ。

ただ少々気になったのは、原材料名に「トレハロース」が入っていること。これは虎ノ門岡埜栄泉や群林堂、瑞穂にはなかったと思う。「賞味期限が当日のみ」というのなら、このトレハロースという添加物がなぜ必要なのか? 村長の現在の頭では理解できない。


         日本橋高島屋⑧ 


次に「十勝産牛肉コロッケ」。大きくてボリューム満点。美熟女の村民2号が忍び足でやってきて、「オーブンで少し焼いてみたら?」と珍しく貴重なアドバイス。確かに、買ってから5時間以上たっていたために、そのまま食べてもうまかったが、揚げたての感触は薄れていた。

オーブンで焼いたら、うまさが倍増していた。神戸串乃家の独自の揚げ方で、余分な油分がハネ飛ばされていて、外側がカリッとしている。中の具は十勝産の牛肉と北海道産のジャガイモがいい具合に練り込まれている。タマネギの甘みも感じた。何も付けずに食べたら、実にうまい。昔、肉屋で買って食べたコロッケの味がよみがえってきた。


          日本橋高島屋③ 


次にブルドッグの中濃ソースを付けてみた。うーむ。ソースの味が強すぎて、コロッケの旨味が消されてしまった。醤油も同じだった。この十勝牛コロッケは何も付けずに食べた方がうまいと思った。
「スーパーのコロッケとはひと味違うわね。値段も違うけど」
「これはうまいけど、たまに食うからいいんだな。コロッケは1個100円以内。昔は5円だったんだから。今でいうと50円くらいかな」
「村長の今の収入じゃ、コロッケも高値の花よ。コロッケ無縁の助さま」
またも毒矢が飛んできた。彦作村長はデルトマケゾウになりそうだった。



本日の大金言。

デパ地下には夢がある。都心に残された唯一のオアシス。疲れたときはここを歩いてみよう。



            日本橋高島屋⑨ 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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