浅草裏通りで下町黒天丼

 あれまあ、朝起きて窓を開けたら、一面の雪景色。昨日までの晴天が嘘のよう。その重たい雪を眺めながら、ブログを書くことにする。

毎年、正月は東京・浅草に行っていたのだが、今年は諸般の事情で行く機会を失してしまった。遅ればせながら、週末、大江戸新年会に行くついでに、浅草寺に立ち寄り、「どうか今年こそ小願成就しますように」と手を合わせてきた。虫のいいお願いごと。聖観音菩薩も呆れているに違いない。
              浅草寺 
              遅い初詣(浅草寺にて)

浅草に立ち寄ったもう一つの狙いはむろん食べること。久しぶりに天丼が食べたくなって、グルメの偏屈友人が勧める西浅草へぶらりぶらり。店主が高齢のためほとんどランチタイムしか営業していない店(夜は予約客のみ)で、浅草ビューホテルの近くの裏通りへ。「季節料理 富士」の暖簾(のれん)が見えた。何やら銭形平次が脇からぬっと出てきそうな店構え。
              富士① 
              浅草の穴場

ぎりぎり午後1時半前に滑り込んだ。古民家風の店内。磨き抜かれた木のテーブルとカウンター席、それに奥が小上がり。照明が暗めだが、それが昭和のいい名残りを感じさせる。隅々まできれいに掃除されている。ランチメニュー「上天丼」(お吸い物、お新香付き1200円=税込み)を頼んだ。
              富士② 
              ええのう
              富士1 
              ま、お上がり

下町の香りのする店主と女将は、一見ぶっきら棒に見えるが、すぐにそうではないことがわかる。注文と同時に天ぷらを揚げる軽やかな音が耳に心地よい。13~4分ほどで、いい匂いとともに「上天丼」がやってきた。
              富士④ 
              おおおの登場
              富士⑥ 
              エビー級
              富士⑤ 
              下町のド迫力

自家製のタレにたっぷりとくぐらせた天ぷらが折り重なるように丘を築いていた。黒っぽい天丼! 大黒家や中清などと同じ浅草下町の匂いがするが、ここは観光スポットからやや離れているために、妙な外国人や観光客がいない。その分、しっかりと作っている。店主は元々は日本料理が専門だが、ここ20年ほどは天丼を食べに来る客が多いそう。

天ぷらは海老が3本、穴子がほぼ1本、ナス、ニンジン、それに貝柱のかき揚げ。関西のようなカラッと揚がった天ぷらではなく、しっかりとタレにくぐらせていることもあり、コロモが柔らかい。ふんわりとしている。タレが厚めのコロモに黒々と滲み込んでいて、一見味が濃さそうだが、穏やかな甘辛。油はサラダ油とごま油のブレンドだそう。野暮の洗練という言葉が浮かんだ。野暮ったさの中に江戸が潜んでいるような。
              富士⑧ 
              穴子の美味
              富士13 
              残りの人生

素材はいずれも鮮度がよく、海老はプリッとしていて、ナスやニンジンも普通に旨い。感心したのは穴子と貝柱のかき揚げ。穴子の柔らかさと貝柱の惜しげのない量。ただ、ご飯は柔らかくて、固めが好きな村長の好みではない。この内容で1200円は高くはないと思う。
              富士10 
              秀逸な貝柱かき揚げ
              富士⑨ 
              ご飯は柔らかめ

お吸い物が秀逸。シイタケと八つ頭、それに三つ葉が浮いていて、シイタケの出汁が心にまで浸みこんでくる。浅漬けのお新香も悪くない。関西流の天丼を期待すると、満足度は低いかもしれないが、これぞ浅草下町の天丼だと思う。帰りがけに店主と雑談。「浅草生まれですか?」と聞いたら「いや、元は上野・根津だよ」。五代目柳家小さんのような雰囲気。女将さんの江戸しぐさも心に残った。ぶっきら棒の奥に深い味わい・・・。

本日の大金言。

やはり浅草は裏通りがいい。観光客で人気の店よりも少し外れのすすけた暖簾。そこに失われつつある何かが残っている。



                         富士12 


 
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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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