宿場町通りの宝石「あんこ玉」

 犬も歩けば棒ではなく、玉に当たることもある。意外な発見という意味である。村長にとっては第二の故郷、東京・北千住をブラ歩きしていた時のことである。夕暮れが近い。「かどや」にでも立ち寄って、あんだんごをお土産にしようと思った。だが、あいにく売り切れていた。

仕方なくトボトボと宿場町通り(旧日光街道)を戻る。頭の中からあんだんごが消えない。このあたりのあきらめの悪さは甘味中毒者の悲しいサガかもしれない。ふと、「和菓子 甘味 福寿堂」の暖簾が目に入った。この店は気にはなっていたが、いつも素通りしていた。昭和のディープな匂いのする甘味屋で、あんだんごや桜もち、いなり寿司ばかりでなくのり巻き、いそべ焼きなど下町の甘味屋の定番がずらりと並んでいる。中はちょっとした喫茶店にもなっている。
              福寿堂① 
              犬も歩けば・・・
              福寿堂② 
              昭和の匂い

これまで素通りしてきたのは品数の多さと、「かどや」の存在が大きすぎたこともある。店には客の姿がない。ふと立ち止まって、あんだんご(1本90円)と草だんご(同90円)の素朴な姿に甘味中枢を刺激されてしまった。さらに「あんこ玉」(120円)のテカりにも。
              福寿堂④ 
              だんごの神様
              福寿堂③ 
              隠れた逸品

とりあえず中で食べることにした。店は親父さんが一人で切り盛りしていた。あんだんごと草だんご、それに草餅(120円)を頼むことにした。これが「かどや」ほどではないが、まずまずの旨さだった。餅もあんこも丁寧な自家製で、北千住の下町の甘味屋の矜持(きょうじ)を感じた。やきそばやおしるこのメニューもある。今どきの外面だけの、見かけのいい甘味カフェが見失った世界。
              福寿堂⑦ 
              まずは店内で

親父さんとしばし雑談となった。店は「そんなに古くないんですよ。45年ほどになります」とのこと。小豆は北海道十勝産、砂糖はザラメを使っているそう。だんごのこしあんも草餅のつぶあんも塩気がほどよくいいあんこだと思った。ザラメを使っていることが職人のこだわりを感じさせる。

お土産に「あんこ玉」を包んでもらうことにした。これが驚きの一品となった。賞味期限は2日ほどなので、ウマズイめんくい村に帰って翌日、二日酔いのまま、熱いお茶を入れて賞味してみた。一個が双子のようになっていて、つまり2個で120円ナリ。小倉色のこしあんと寒天の透明なテカリが宝石のように見えた。しばらく見入ってしまった。
              福寿堂① 
              お持ち帰りの事件
              福寿堂② 
              双子の宝石?

あんこ玉は浅草「舟和」のものが有名だが、このほとんど無名のあんこ玉を賞味して、世間の評価があまりアテにならないことを改めて実感させられた。期待していなかった分、驚きも大きいということかもしれないが。

中のこしあんのしっとり感と風味が何よりも素晴らしい。ザラメのねっとりした甘さ、それを引き立てる塩加減が絶妙で、文字通りいい塩梅。双子の寒天の食感と見た目の姿のよさ。村長的には老舗のあんこ玉と比べても引けを取らないどころか、それ以上だと思う。
              福寿堂⑤ 
              飛び込みたい
              福寿堂④ 
              こしあんの絶妙
              福寿堂⑥ 
              発見の楽しみ

犬も歩けば、玉に当たってしまった、そうとでも表現するしかない。たまたまのたま。こいつは春から縁起がいいわい。あまり関係ないが、赤江珠緒さんのいなくなったモーニングバードはあんこのないあんこ玉みたいだ。

本日の大金言。

看板よりも中身が大事。ただの石なのに宝石だと思い込んでいる。すぐ近くに宝石があるのに、ただの石にしか見えない。すべての属性を一度はぎ取ってみて、素直に見つめること。それが案外難しい。虚と実が入り乱れた高度情報社会のすき間に本物が潜んでいることだってある。自戒を込めて。


                         福寿堂11
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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