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人形町柳屋のたい焼きと養殖たい焼きの闘い

 「たい焼き」は冬の風物詩という時代が去って、今では夏でもたい焼きが楽しめる。たい焼きファンとしてはめでたい話である。
1975年(昭和50年)、子門真人が歌う「およげ!たいやきくん」の大ヒットによって、第一次たい焼きブームが巻き起こり、その後、しばらく冬の時代が続き、5年ほど前から、冷めてもうまい「白いたい焼き」(尾長屋)の登場などによって、再びブームに火がついた。

現在は第二次たい焼きブーム。「日本一たい焼き」「たい夢」「かめや」「銀のあん」「かめ福」など、ひと昔前には考えれれなかった「薄皮で、尻尾の先まで入った極上のあん」という「旨いたい焼き2原則」をクリアしたFCチェーン店が次々と登場。東京をぶらぶら歩くと、残暑が厳しいというのに、同じような店構えのたい焼き屋が「暑くてもたい焼き、え~いかがですか」と声を上げている。

ショッピングモールなどに行くと、アイスクリーム屋とともに、たい焼き屋が一角を占めている。値段はそれなりで、1個120円~180円ほど。あんばかりではなく、白あん、抹茶、ずんだ、カスタードクリーム、ジャムなど多種多様。今川焼ファンでもある赤羽彦作村長は、歴史的には明治末期になってからできたたい焼きよりも今川焼にシンパシーを感じる。江戸中期に東京神田・今川橋あたりで売り出されたのがルーツだが、何よりも、1個80円~100円と安いのも気に入っている。派手好みのたい焼きと地味系の今川焼。


          人形町・柳屋① 


今川焼についてはしばらく後に取り上げるとして、今回は夏のたい焼き。中でも一匹ずつ手作業で焼き上げる天然物の代表「人形町 柳屋」と、複数匹をまとめて焼く養殖物の代表「かめ福」のたい焼きを食べ比べしてみた。

「柳屋」はたい焼き業界では別格で、1916年(大正5年)創業。麻布十番の「浪花家総本店」(1909年=明治42年創業)、四谷の「わかば」(1953年=昭和28年創業)と並んで、たい焼き御三家の一つに挙げられている。人形町甘酒横丁にあり、平日でも行列ができるほどの人気。店頭では職人さんが1匹1匹ていねいに焼いている。その光景は彦作村長が初めて足を運んだ20年ほど前と変わらない。1匹140円ナリ。店頭だけでは対応しきれないために、奥でも焼いているようで、行列のさなかに、焼き上がったたい焼きを運んできたりする。
 
表面はパリッとしていて、金型からはみ出た端っこが焦げている。ここがいかにも職人の手焼きを感じさせて、好感が持てる。アツアツをふうふうしながら、まずは割ってみる。北海道産の粒あんがいい色具合で顔を出す。

           人形町・柳屋③ 

           人形町・柳屋⑥ 


皮のモチモチ感はさすがという出来。パリパリもっちり、そして甘さ控えめの粒あんが口中にふくよかに広がってくる。その絶妙なハーモニーが柳屋の歴史でもある。1+1が3の世界。「創業九十余年」の看板がダテではないことがすぐに理解できる。


 
彦作村長は次に「かめ福」のたい焼き(1匹120円)にかじりついた。こちらも北海道産のいい小豆を使っている。「養殖物」といっても、一度に焼くのはせいぜい12~20匹。柳屋のように1匹1匹ではないので、端っこが焦げることはない。それでも外側はパリッとしている。カリカリという音さえ聞こえてきそうなくらい。薄皮で柳屋よりは小さめ。中のあんは尻尾まで詰まっていて、こちらも控えめな甘さ。いい小豆の香りが立ち上ってくる。柳屋のたい焼きを最初に食べなかったら、「絶品だ」そう叫びたくなるほどうまい。たい焼きのレベルがひと昔前より格段に上がっていることを実感できる。

          かめ福鯛焼き① 
          かめ福鯛焼き③ 


しかし、柳屋が1+1=3なら、かめ福は1+1=2くらいの微妙な差がある。このタッチの差が実は重要なのかもしれない。長い年月で築き上げた伝統と職人技の差。たかがたい焼き、されどたい焼き。天然物と養殖物という分類でいえば、天然物が養殖物に負けたら看板倒れにもなるという覚悟。ビジネスの誘惑を振り切るそのぎりぎりの職人的なプライド。

泳げたいやきくん、広い海へ行きたいのはわかるけど、どうか行き先を間違えないでほしい。そこはキミの場所ではないかもしれない。海ではなく一人のファンのために存在することが大事ってこともある。泳ぐな、たいやきくん。



本日の大金言。

たい焼きが一年中食えるようになっても、たい焼きの旬は秋から冬だと思う。冬の花火と夏のたい焼きは少しでいい。



          人形町・柳屋②  










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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗かも。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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