究極のうどん、日本橋で「伊勢うどん」

 久しぶりに伊勢うどんを食べたくなり、東京・日本橋に行ったついでに三重県のアンテナショップ「三重テラス」に立ち寄ることにした。ベトナムで猛烈な食中毒に遭い、それ以後胃の調子がイマイチということもある。鯨飲馬食は控えねばならない。空を見上げてはため息をつき、足元を見ては心が揺らぐ。「究極のコシのないうどん」伊勢うどんが脳裏にピカピカしている。イケイケ、伊勢うどんさま・・・。
          三重テラス① 
          三重テラスで伊勢うどん

伊勢うどんの凄味と美味さについてはこれまで何度か取り上げてきたが、元々は人気エッセイストの石原壮一郎さんから教えてもらった世界である。石原さんは伊勢うどん大使も務め、ユニークな活動を続けている、村長の敬愛する人物の一人。エンタメ新聞社時代は10年くらいの長きにわたって、コラムを連載していただいた縁もある。

その石原さんが東京で味わえる本格的伊勢うどんとして勧める一つが「三重テラス レストラン&カフェ」。とはいえここで食べれるのはカフェタイムの午後2時半から5時までの間、2時間半のみ。ギリギリに三越本店の斜め向かいの三重テラスに滑り込む。カフェレストランは暖簾の奥にある。
          三重テラス1 
          この奥の世界

時間が時間なので、客は少ない。「伊勢うどん」(税込み500円)は、みなみ製麺、かいだ食品、ヱビス.カンパニーの3タイプから選択するシステム。3つを同時に食べ比べしたいところだが、哀しいかな胃袋にその余裕はない。たまたま来ていた常連客が勧める本場伊勢市のみなみ製麺のうどんを選んだ。残りの2社は松阪市と鈴鹿市だそう。ついでに「有精卵」(同100円)も頼むことにした。
          三重テラス② 
          メニューやでぇ

伊勢うどんは茹でる時間が長い。そのため15~6分ほどの待ち時間で、黒い陶器皿に乗った伊勢うどんが湯気を立てながらやってきた。ドンブリでないのが少々残念。やはりここは妙にモダンにせずに、ドンブリで行くべきだと思う。有精卵は黄身だけで、見るからに美味そう。
          三重テラス④ 
          これだけ?

湯気を立てるうどんの上に万能ねぎがパラパラとかかり、一見「何だい、これだけ?」と拍子抜けするかもしれない。だが、それが伊勢うどんの罠なのである。奥行きが底知れない、摩訶不思議な世界が隠れているからだ。真っ白いうどんの下には黒々としたタレが隠れている。タレはたまり醤油をベースに鰹節、いりこ、昆布などの出汁を加えたもの。
          三重テラス⑤ 
          ふっふっふ

箸を割って、かき混ぜる。いい匂いが曼荼羅状に広がってくる。ふてぶてしさと紙一重のぶっ太いうどんをまずはひと口。タレは甘めで、絶妙に美味い。出汁の効き方がとてもいい。何よりもうどん。異様なまでのもっちり感とおよそコシとは無縁の不思議なうどんで、400年以上の歴史がこのシンプルな奥深い世界に詰まっていると思うと、正座して食べたくなる。
          三重テラス⑥ 
          かき混ぜると・・・
          三重テラス⑦ 
          出汁が立ってくる
          三重テラス⑧  
          無腰の凄味

「あんたはん、そないに尖(とん)がってはいけまへんでえ。もっと楽くうに、楽くうに。正座だなんて冗談はおよしになってえ」
裃(かみしも)を脱いだ伊勢うどんがそう囁きかける。うどんにコシは必要ないかもなあ、などと思いたくなる旨味の効いた深い味わいだと思う。
          三重テラス⑨ 
          有精卵のトッピング

有精卵を加えて、混ぜ混ぜしてから、さらに口中に運ぶと、新鮮な卵の香りが鼻腔に抜けていく。さらにまろやかさが増すが、村長は卵を加えない方が好み。ボリュームがやや少なめだが、今の村長にはそれがちょうどいい。食べ終えると、伊勢神宮の方角に向かって参拝したくなった。早く胃袋が戻りますように。

本日の大金言。

コシのない伊勢うどんの世界は貴重だ。まだまだうどん=コシ派の力は強大だ。コシの刀をぎらつかせる最近の風潮の対極、無腰の伊勢うどんの世界こそ人類の理想郷かもしれない。頭の固いキミ、思い込みの強すぎるキミ、月に一度くらい伊勢うどんを食べて無腰になるのも悪くないかも。


                 三重テラス12 

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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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