東京ラーメンのルーツ?埼玉の奇跡

 埼玉・加須市騎西にある清水酒造へ。百二十年続く小さな酒蔵で、ここの純米吟醸酒が村長の好み。これまで何度も鑑評会で金賞を取っている。五代目社長と歓談、今年の出来を聞いたら、「80点の出来」とか。控えめな人柄なので、多分、かなりいい出来なのは間違いない。予約しておいた、希少な「亀甲花菱 無濾過生原酒」を買う。これを持って、花見とシャレ込むことにした。
          清水酒造① 
          清水酒造

今年の桜はピンク度が高いように思う。3.11後の桜も何故かピンク度が高かった。ひとしきり花見の酒宴を楽しんでから、一人抜け出して、加須市元町にある「来集軒 元町店」の暖簾をくぐることにした。来集軒といえば、浅草店が有名だが、実は加須市元町店こそが来集軒・東京ラーメンの本流であることを知っている人は少ない。独特の自家製シュウマイもここから始まっている。
          花崎北公園桜② 
          満開の下

来集軒は元々は製麺所で、明治43年(1910年)、東京・浅草でスタートした。加須元町店の初代は、ここで麺づくりを修業。昭和3年(1928年)、入谷で「中華料理 来集軒」一号店をオープンさせた。その後、昭和16年に出身地だった埼玉・加須市元町に移転、現在に至っている。浅草来集軒の中華料理店としての創業は昭和25年(1950年)なので、それよりもずっと古い。
          来集軒 
          来集軒の元祖

その元町店へ。現在は三代目が来集軒の味を守っている。どこかよき時代の浅草のハイカラ趣味の残る店構え。テーブル席に腰を下ろし、「いちおし」の「ラーメン」(税込み550円)を頼んだ。もう一つの一押し「しゅうまい」もハーフ(2個140円)で頼んだ。
          来集軒① 
          昭和3年のメニュー?
          来集軒② 
          ひらがな、の世界

13分ほどの待ち時間で、ラーメンとしゅうまいがいい匂いとともにやって来た。白い深めのドンブリで、まさに正真正銘、伝統の東京ラーメンの世界。濃いめの醤油スープ、丸い豚バラチャーシューが一枚、黒々と煮しめられたシナチク(メンマというよりシナチクと呼びたくなる)、小さな海苔、刻みネギ・・・中華そば、いや支那そばの、あまりに懐かしき世界が目の前に広がっていた。
          来集軒③  
          これが東京ラーメン
           
レンゲでまずはスープを。見た目はかなり濃いが、実際はまろやかで穏やかな醤油スープ。やさしい味わいで、豚ガラ、鶏ガラ、それに野菜をじっくり煮込んだ出汁が効いている。煮干しも使っているようで、その風味が絶妙である。
          来集軒⑥ 
          醤油スープ
          来集軒⑤ 
          今も自家製麵

麺はもっちり感のある中太縮れ麺で、三代目店主が毎朝手もみして作っているこだわりの自家製麵。スープが麺によく絡む。「チャーシューもシナチクもすべて手作りにこだわってる」ことが次第にわかってくる。チャーシューが今どき多いトロトロではなく、やや固めなのが誠実である。シナチクが秀逸で、見た目の濃さと違って、素朴に旨い。
          来集軒⑦   
          昭和のチャーシュー
          来集軒⑨ 
          シナチクの秀逸

「しゅうまい」は豚肉と玉ネギで作っているそうだが、豚肉の存在は薄い。玉ネギの甘さとつなぎの小麦粉の存在が勝っている。酢醤油ではなく、ソースで食べるのが昔からの来集軒の流儀。マスタードをたっぷりつけてガブリといくと、どこかつなぎだけの足利シュウマイに通じるような、あれっという味わい。これが貧しかった昭和の味わいかもしれない。
          来集軒12 
          昭和のしゅうまい
          来集軒4 
          表現不能?

昭和3年創業の来集軒の世界に敬意を表したくなる。来集軒の暖簾は関東に点々といくつかある。だが、その何処もこの元町店の初代から出ているとしたら、ここでの時間はほとんど奇跡に近い体験になる。まさか埼玉の加須市にかような店があるとは・・・お釈迦様でもご存じないかもしれない。

本日の大金言。

東京ラーメンの元祖は浅草来々軒と言われる。明治43年(1910年)創業。初めてチャーシューとメンマを具として使ったとも言われるが、来集軒の歴史もそれに引けを取らない。ナルトやほうれん草、煮卵の登場はその後の話ということになる。



                   来集軒14 






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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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