埼玉の隠れ家「喜多方ラーメン」

 麺食いシンジケートの友人から久しぶりに連絡があった。メールではなく電話というのは珍しい。

熊本地震の不安をひとしきり口にした後に、「ところで」と口調を変えて「埼玉の上尾に本格的な喜多方ラーメンがあること知ってるかな。知ってたら尊敬するよ」とシニカルにのたまった。「知らない」と答えると、うれしそうに「住宅街の自宅をそのまま店にした、まあ隠れ駕みたいなところだよ。ポンコツ車を走らせる価値はあると思うよ」。テレビは熊本地震関連の話題をこれでもかと伝えている。被災者の家族の心情を思うと、胸が痛む。

喜多方ラーメンは首都圏にもいくつかある。「坂内食堂」系のチェーン店「坂内」や「小法師」などは村長もたまに行く。だが、埼玉、それも上尾の住宅街とは珍しい。芸能人までネタにしたテレビの熊本地震関連の報道を見ながら、「何だか日本列島もメディアも断層がズレて来ているなあ」とブツブツ。本当のことが隠れている気がする。村長はテレビを消して、ポンコツ車を走らせることにした。喜多方ラーメン好きの村民2号が跳び乗った。
         サトウ 
        まさかの住宅街

上尾に向かって国道17号線をひた走り、上町交差点を左折して住宅街に入る。まさかと思う場所に「ラーメンとお食事の店 サトウ」の看板が見えた。「喜多方ラーメン」の赤い幟(のぼり)がなかったら、フツーの古い住宅にしか見えない。時刻は午後1時半過ぎ。
         サトウ①  
         自宅兼店

入ると、眼鏡をかけた感じのいい男性が現れ、「こちらにどうぞ」と右手の和室に案内してくれた。大きめの和テーブルが二つ。隣は椅子の部屋で、ダイニングをそのまま使っているようだ。その奥が厨房になっているようで、若い男性は「店主は私の父で、喜多方でラーメン修業をして店を開いたんです」と説明してくれた。和室の壁には手書きでいろんなランキングが貼ってあった。昭和の匂いそのままの不思議な雰囲気。
         サトウ③ 
         昭和の匂い

客は近所のおばさんらしき人が一人。出前もしているようで、「今日は亭主と離れたいから、食べに来たのよ」と話している。メニューの中から「醤油ラーメン(500円)と「餃子」(300円)を頼んだ。メニューは豊富で、チャーハンやカツ丼、おツマミ類まである。
         サトウ④ 
         喜多方ラーメン

10分ほどで懐かしいいい匂いとともに、醤油ラーメンがやって来た。透明な醤油ベースのスープがまさに喜多方。自家製チャーシューが2種類、丸い煮豚の豚バラチャーシューとモモ肉の角型チャーシューで、角型チャーシューは厚さが優に1センチほどある。細かい刻みネギ、ワカメ、それにメンマという構成。刻みネギもワカメもどっさり。喜多方ラーメンでワカメどっさりというのは珍しい。
         サトウ⑤ 
         匂いの郷愁
         サトウ⑧ 
      自家製チャーシューの分厚さ

その下の麺は平打ち縮れ麺で、「喜多方の製麺所から直送してもらってます」とか。コショウをぱらりと振ってから、レンゲでスープをひと口。すっきりし過ぎるくらいのあっさりした味わいで、「出汁は豚ガラ、鶏ガラ、それに煮干しを使ってます」とか。喜多方ラーメンの本流の味わいだが、こってり好きにはやや物足りないかもしれない。
         サトウ⑦ 
         あっさりスープ
         サトウ1  
         喜多方直送の麺

麺が本場そのもので、歯ごたえといいもっちり感といい「喜多方で食べてるみたいね」(村民2号)というもの。感心したのは豚バラチャーシュー。きれいな脂身と赤肉のバランスがよく、じっくり煮込んだ肉の旨みが秀逸。角型チャーシューは今イチ。メンマはフツー。全体のボリュームもある。
         サトウ⑨ 
       このチャーシュー美味
         サトウ10 
         小太り手づくり餃子

「餃子も小ぶりだけどしっかり作られていて、おいしいわ。何よりもラーメンがこの内容で500円というのがすごい。これで儲かるのかしら。本場よりも安い。佐野ラーメンと違った意味で、今の脂ギトギトのこってり系らーめんに対抗できるわね。まさか住宅街にこんな店があったなんて」
「家族経営のようだけど、喜多方ラーメンの首都圏観光大使に任命したいくらいだよ。ウマズイめんくい村の特別観光大使になってもらおうかな」
「そんなの誰もありがたがらないわよ」
「・・・・・」

本日の大金言。

住宅街の店が増えている。お客の対象をご近所に集中して、ビジネス展開よりも食っていければいい、と分相応の楽しみ方を基本にしているのが特徴。そうした中に本物が潜んでいることもある。


                  サトウ11
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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