下町でまさかの「あまおう草餅」

 猫も歩けばカツ節に当たる。村長も歩けば、まさかの草餅に当たる。そんな軽口をたたきたくなる小さな出来事が起きた。

東京・池袋に用事があり、埼京線に乗り換えて外の風景を見ているうちに、ふと十条の商店街をブラ歩きしたくなった。池袋の用事には少々時間があったこともある。東十条駅で跳び下りた。十条は日本でも有数の商店街のメッカで、いくつかの商店街が複雑につながっている。最近、メディアに取り上げられることも多い。

中でも十条銀座商店街は、北区最大のアーケード商店街で、京都の三条商店街にも通じる庶民的な昭和の世界が色濃く残っている。中島らもが通った「斎藤酒場」を横目に、商店街の中に足を踏み入れると、ハートがときめくのがわかった。歩いているだけで心がウキウキしてくる。
         だるまや2 
     ええのう十条銀座商店

しばらく行くと、右手に餅菓子屋が見えた。「だるまや」の屋号。ぼた餅や草餅、おいなり、だんご、お赤飯など持ち帰りの商品が美味そうに並べられていた。かき氷ののぼり旗が風にゆらりと揺れている。ここはかき氷の名店でもある。

だが、村長の目はその中の一品に吸い寄せられた。見事な高級いちご「あまおう」が美味そうな草餅の間から「いらっしゃいな」とささやいた。あまりに魅力的なもろ肌脱ぎ。どきり。衝撃的なコケティッシュスイーツ・・・。
         だるまや 
         当たりかハズレか?
         だるまや② 
         おおおの草餅

いちご大福はこれまで何度も食べているが、いちご草餅なんて初めて。「季節限定 あまおう草餅 250円」の手書き文字が見えた。通常は280円。つぶあんとこしあんの2種類。一個250円でも安くはない。いちごと草餅なんてミスマッチではないか? 

奥が甘味喫茶になっていたので、女性スタッフ(女将さん?)に「中で食べれますか?」と聞いてみた。すると、「食べれますが、少し高くなります」とのお返事。よくよく聞くと、「何かお飲み物でも注文していただければ」ということだった。迷ったが、耳元で「いま食べないと絶対後悔するよ」と天使(悪魔?)がささやいた。
         だるまや④ 
         後悔先に立たず

「ホット珈琲 480円」(これが一番安かった)を頼み、「あまおう草餅」のつぶあんを賞味することにした。合計730円ナリ。だが、これが驚きの味わいだった。ラップを取ると、よもぎ餅の香りとあまおうの香りが鼻腔をくすぐった。自然で見事な色味と貫録。見ただけですご腕の餅菓子職人の気配を感じた。
         だるまや⑤ 
         見事な世界
         だるまや⑥ 
         横から失礼

おもむろにひと口かじると、あまおうの甘い果汁と草餅の柔らかくもっちりした食感、それに上質のつぶしあんが三位一体となって口中に広がった。草餅の香りがあまおうとあんこの風味を損なうのではないか、という危惧は消え去っていた。
         だるまや⑦ 
         たまらん
         だるまや⑧ 
         一つの極致か?
         だるまや⑨ 
         コケティッシュ

何よりもつぶしあんの美味さが予想を超えていた。ふっくらと炊かれていて、甘さがほどよい。砂糖は極上の和三盆を使っているのではないか。ふくよかな風味が鼻腔から脳天へ抜けていく。脳内にそよ風・・・。

三代目だという若主人にあれこれ聞いてみる。かなりのこだわりぶりが見て取れる。

「ボクはオーガニックにこだわってるんですよ。例えば小豆は産地よりも生産者が問題なんです。いい生産者を見つけたら、どこまでも行きます。いい砂糖があると知ったら、宮古島へも行きます。いちごでもコーヒーでも日本中どこにでも行きます。ボクは自分を旅人だと思ってるんです。ヘンな奴と思われるかもしれませんが、何事も成し遂げるのはヘンな奴だと思います」

確かにヘンなお方、ではある。だが、730円が高いという思いはすっかり消えていた。へんなへんはへんではない。

本日の大金言。

古さと新しさ。コロンブスの卵は一朝一夕には生まれない。ミスマッチから案外、新しい定番が生まれるかもしれない。


               だるまや10 







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次はカキ氷をお勧めします。十条にしては高いが、とにかくうまいと思います。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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