奇跡の一本松と磯ラーメン

 今回の旅の目的の一つが「奇跡の一本松」を直に見ること。日本百景の一つだった名勝「高田松原」の7万本もの松の木が、あの日、牙をむく大津波によって一瞬にしてなぎ倒され、奇跡的に一本だけが残った。メディアが「希望の松」として大々的に伝え、痛々しいその姿に村長も胸を打たれた。
         奇跡の一本松1  
         何語る?奇跡の一本松

その「奇跡の一本松」が目の前に見える。辺り一帯は大規模造成工事中で、最大12メートルのかさ上げのために巨大なベルトコンベアーが毎日ダンプ4000台分の土砂を近くの山から取り崩し運んでくる。その音が青空に吸い込まれていく。何という構図だろう。
           奇跡の一本松③ 
         5年後の世界
         奇跡の一本松①   
         大規模造成工事中

「奇跡の一本松」は2012年5月、専門家によって「枯れ死」していることが明らかになった。その後、市は約1億5000万円かけて、合成樹脂などで形を維持し、モニュメントとして残すことになった。その費用は募金によって賄い、2013年6月末に完成している。

「震災から時が経ち、だんだん見に来る人が減ってきている。苦しいですよ。陸前高田の被害は風化させたくない」(近くのカフェの店主)。

数人の観光客らしき人たちが写真を撮っている(村長もその一人)。突然、見ているつもりが奇跡の一本松が無言でこうした光景を眺めている気がした。沈黙の饒舌という言葉が浮かんだ。さらにそれが地球の近未来のように感じてしまった。眺めているのは宇宙からの観光客で、「かつて地球ではこんなことがあったんだよ」と子どもに言い聞かせている・・・。

「村長も一本松のようになりたいんでしょ?」
「まだ枯れ死してないぞ。でも、あんなに立派で、あんなに孤独で、痛ましいなあ」
「枯れ死しないように、早く昼ごはん食べに行きましょ」

ポンコツ車を走らせて、近くの「こんの直売センター」へと向かう。ここには知る人ぞ知る名物「磯ラーメン」がある。旧店舗は津波で流され、約2年後に高台の米崎町県道38号線沿いに移転して再開にこぎつけた。
         こんの直売センター 
         再開まで2年

店内は地元客が7~8人ほど。それなりの活気がある。村長はメニューの中から「磯ラーメン」(税込み600円)を選んだ。村民2号は「ホタテ丼」にしようかどうか迷った末、結局同じものを選んだ。
         こんの直売センター② 
         メニューの一部

12~3分ほどで、磯ラーメンがやって来た。大きめのどんぶり。まん中にドデカいホタテがどっかと乗り、周囲を新鮮なワカメ、海苔、ふのり、マツモ、刻みネギが覆っていた。ホタテはこの店の自家養殖物。ポエム。
         こんの直売センター③ 
         ポエム
         こんの直売センター⑦ 
         透き通ったスープ
         こんの直売センター⑧ 
         自家養殖ホタテ
         こんの直売センター⑨ 
         裏から失礼します

スープは驚くほど透明で、賞味するとかなり薄い塩味。海藻とホタテの出汁がうっすらと滲んでくる。インパクトの強いラーメンに慣れた舌には少し物足りないかもしれない。
         こんの直売センター⑥ 
         細縮れ麺

麺は黄色みの強い縮れ細麺で、「麺は固めでお願いします」と注文したせいか、ドンピシャ村長の好み。何よりも自家養殖のホタテが見事で、そのプリプリ感が首都圏で食べるものとひと味違う。新鮮な海の甘み。内臓も美味。スープを一滴残さず飲み干すと、本来の陸前高田のきれいな海を飲み込んでしまったような感覚に陥ってしまった。胃袋の中の海。遠くに一本松・・・合掌。

本日の大金言。

奇跡の一本松は人類の未来かもしれない。今や73億にも膨れ上がった人間の生存競争がこ先どうなるか? 原発事故、テロと戦争、環境問題、ウイルス、そして自然の猛威・・・それを少しの間考えるだけでも奇跡の一本松を見る価値はあると思う。



                  こんの直売センター10 



 
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一本松仲間

奇跡の一本松を見にいらしていたんですね。観光客が減っているなんてにわかには信じられませんが、私が行ったときは(二年前です)はすごく込み合っていました。
今は熊本が大変なので、東北のことはつい忘れがちになります。でも、本当に東北は風化させていけないと思います。絶対に。村長もがんばってください。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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