気仙沼ふかひれ寿司の夜

 陸前高田から気仙沼へポンコツ車を走らせた。気仙沼も3.11で大きな被害を受けた。まずは魚市場に行って、黙とうすることにした。時間が午後4時過ぎだったので、閑散としていた。魚の残りを狙っているのかカラスが多い。鳶(とび)とウミネコもいる。空の世界も生存競争が激しいようだ。
         気仙沼市魚市場④ 
         気仙沼市魚市場

漁港に隣接している「海の市」の自販機の上に「東日本大震災 津波浸水ここまで」の表示があった。見上げる。高さ約6メートルほど。周辺からは一見3.11の痕跡は消えているように見えるが、その表示を見上げながら、改めて大津波の凄まじさを想像する。だが、想像は現実に到底届かない。
         気仙沼市魚市場② 
         津波の高さに驚く

「この表示がなければ、実感がわかないわ。空も海ものどかで、3.11が夢の世界に思えてくる。でも、それは現実で、その深い傷跡にいまだに苦しんでいる人が沢山いる。私たちは呑気なものね」
「あちこちの道路の歩道橋にもこの表示があったなあ。そのたびにギクリとする。記憶を風化させてはいけないという地元の強い意志を感じるよ」
「最近物忘れのひどい村長にはもってこいね。日本中が村長のようになったら困るわ」
「そう来たか。一億総認知症化なんて嫌だよ」

安ホテルにチェックインして、気仙沼のもう一つの目的「ふかひれ寿司」を食べに行くことにした。ふかひれは忘れない。

気仙沼は日本一のふかひれの産地で、マグロやカツオやサンマなど遠洋・沖合漁業の水揚げも3.11後に一時中断したもののその後徐々に復活している。もともと三陸海岸は世界三大漁業地帯の一つで、気仙沼市魚市場はその中心をなしている。
         ゆう寿司① 
         渋い店構え

どこの寿司屋に行くか、歩き回った末に福幸通り近くの「ゆう寿司 田谷店」を選んだ。創業が昭和53年(1978年)で、気仙沼でも有数のお寿司屋さん。地味で渋い店構えが気に入った。有田焼の湯飲み茶碗がさり気なく飾られている。

メニューの中から「ふかひれ食べくらべセット」(3カン2000円=税別)と「上にぎり寿司」(2000円=同)を頼んだ。安くはないが、気仙沼に来たからにはこれは欠かせない。その他にもいくつか肴と生ビール(中ジョッキ600円)もしっかりと頼んだ。
         ゆう寿司③ 
         清水の舞台?
         ゆう寿司② 
         どれにすんべか
         ゆう寿司④ 
         開始のゴング

「上にぎり寿司」はマグロの中トロが絶品だった。いい脂の乗り。女将さんに聞くと「生の本マグロです」とか。道理で旨いはず。酢飯は宮城産ササニシキ。ウニ好きの村民2号が黙々と食べまくっている。毒舌が止まっているのがありがたい。
         ゆう寿司⑦  
         見事な上にぎり寿司
         ゆう寿司⑧ 
         中トロの美味

最後になって、ようやく「ふかひれ食べくらべセット」が登場した。「注文を受けてから作り始めるので、かなりお時間を頂いてるんです」と女将さん。トロリと煮込んだ中華風のヨシキリザメの最高級下ビレ「トロふかひれ」1カンと「クズレ」2カン。この店のオリジナルで、トロふかひれは口中に入れた瞬間、オーバーではなくとろけるようにノド奥へと消えて行った。濃厚で甘い余韻。サメも人間には敵わない。
         ゆう寿司11 
         トロふかひれ寿司
         ゆう寿司13  
         ヨシキリザメのクズレ
         ゆう寿司⑨ 
         ふかひれスープ

「クズレ」はこってり感とシャキシャキ感があり、こちらはこちらで悪くない。だが、村長はマグロの中トロとお通しに出た「しらすの釜揚げ」の旨さの方が特に印象に残った。どちらも築地で食べるより旨いと思った。

「3.11の時は津波が大川から氾濫してきて、店が衝立(ついたて)の高さまで浸水したんですよ。私たちは高台まで逃げて何とか助かったんです。再開するまで大変でした。それでも海岸から離れていたのでこの程度で済んだんです。魚市場近くにあった本店は流されてしまいました。今はそちらは移転してバイパス店として復活してます」(女将さん)

生ビールを飲み、旨い寿司を食べ、ふかひれを味わえる幸せがジワリじわりと押し寄せてくるのだった。

本日の大金言。

熊本地震の被害は続いている。3.11のほぼ5年後。日本はどこにいても被災者になる可能性があると思う。原発の問題。霞が関と永田町の想像力の欠如が恐ろしい。強欲と現実感覚の希薄さ。



                 ゆう寿司14 





スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR