マルゴーもかすんだウソみたいな黒糖かりんとう

美熟女の村民2号は大のかりんとう好きである。「少しやせなきゃ」とダイエットに励んでいるときにも、台所の奥にこっそりかりんとうだけは確保している。特に沖縄産の黒糖を使ったかりんとうが好みで、よくもまあ、とあきれ返るほど、うまそうなかりんとうをどこかから仕入れてくる。その村民2号が久しぶりに腰を抜かしそうになった。ぎっくり腰になったわけではない。オーバーではなく、こんな黒糖かりんとうがあったとは・・・とすっかり脱帽してしまったのだ。まさか?

キッカケは京都にお住いの調布先生である。これまでも「亀末廣」の干菓子や「緑壽庵清水」の金平糖など、京都でも別格の和菓子を教えてくれたり、案内してくれたり、時にはクロネコしてくれたり。「あんたは修行が足りん。この味がわかるか?どないや?イッヒッヒ」と愛なのか鞭なのかわからない、謎かけのような深いメッセージを送ってくれるお方である。

その知識、経験、洞察力は、永田町でも一目置かれていて、時の政権のブレーンの一人だったこともある。その調布先生が難問山積の江戸城の意を受けたのか、はたまた単に美女に会いに来ただけなのか、水戸黄門に変身してこっそり東下してきた。ウマズイめんくい村にも草鞋を下してくれた。そのとき手土産として持ってきてくれたのが、「和菓子処 箕面かむろ」の「黒糖菓凛糖」だった。

         黒かりんとう④ 

彦作村長はご近所を招いて、とっておきの秘蔵ワイン「シャトーマルゴー1998」などを出して歓迎の宴を開いた。天国特派員の村犬チャイも駆けつけて、宴は大いに盛り上がった。話は多岐にわたり、やがて宴がそろそろ終わりかけたとき、調布先生が村民2号に耳打ちした。「あのかりんとう、後でゆっくり食べてね。イッヒッヒ」。

調布先生がお帰りになった後、円筒形のブリキの缶を開けてみた。黒かりんとうは一つ一つパッケージされていた。どこか只者ではない雰囲気が漂っている。
「これって本当にかりんとうなの?」
村民2号が驚きの声を上げる。
彦作村長もその色に目を見張らされた。見事な黒檀色。黒糖かりんとうはこれまで何度も食べているが、まるで黒さが違うのだ。色むらがない。油のテカリがない。ベルギー産の手づくりチョコレートのような黒なのだ。
「うーむ。味見してみよう」

          黒かりんとう⑤ 

「こんな真っ黒いかりんとう、初めてよ」
シャトーマルゴーにもあまり反応を示さなかった村民2号が、目をとろんとさせて、ため息をついている。単純な奴だ。とはいえ、彦作村長もその最初の口当たりに脱帽せざるを得ない。沖縄でも最高と言われる波照間産の黒糖を使って、職人技で一つ一つ丁寧に仕上げている。その黒糖のまろやかさが優しいのだ。沖縄の残照が頭をよぎっていく。中もサクッとしていて黒糖の余韻とともに口中に溶け込んでいく。絶品と言わざるを得ない。

          黒かりんとう③ 

大阪府箕面にある「かむろ」に興味を持った。一体どれほどの伝統と歴史があるのか? だが、 これほどの和菓子屋なのに、調べても調べても歴史が見えてこない。最近は関西のデパートにも出店し始めているのに、その正体が見えてこないのだ。隠しているのか? 彦作村長は新聞記者だったころを思い出して、秘密の扉を開けようとした。

手がかりはあった。主人がある種の天才型和菓子職人で、まだ40代の若さ。創業したのが2006年。つまり、たった6年ほどの歴史だった。何という和菓子屋か。和菓子の修業を積んで、箕面にノレンを出したという。栗まんじゅうや三笠、最中、大福なども一級品で、すでにかなりのファンがついていることも分かった。

「まるで和菓子界の孫正義かジョブスね。亀末廣ばかりでなく、こういう店を知っている調布先生は人間を超えているわ」
「調布先生のイッヒッヒの意味が少しわかった気がするよ。古いだけではダメで、進取の気性も必要ということかな。食えないお人だよ」
「黒かりんとう、10個しか入ってないのが残念。通販もやっているみたいなので、村長、今度取り寄せてよ」
「キミの体重と相談してからだね」
「かむろって、ハゲ坊主って意味もあるのよ。村長、この意味わかるでしょ?」
毒矢がビュンビュン飛んできた。かりんとう如きで死にたくはない・・・。



本日の大金言。

世の中の常識はくつがえされる。かりんとうの常識を超えた黒かりんとうの存在。すべての常識はいつかくつがえされることを教えてくれる。この黒かりんとうもまた。

        黒かりんとう① 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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