有楽町・地下の「昭和チャーハン」

 チャーハン好きにとって「昭和のチャーハン」の極めつけの一つが、東京・有楽町にある。

ガード下の「谷ラーメン」や「慶楽」など、かつて村長が通った店ではなく、今回は交通会館地下にある「交通飯店」のチャーハンをご紹介したいと思う。約1が月半前にはすぐ近くに東急プラザ銀座がオープンしている。時代は回りながら繰り返す?
          銀座東急プラザ 
      時代は回る?(東急プラザ銀座)

交通会館は開業が昭和40年(1965年)で、屋上の回転レストラン(現在も営業中)は当時大きな話題を呼んだ。今では想像できないが、有楽町界隈は戦後の闇市の面影が残っていた。立ち飲み屋や寿司屋などが並び、怪しげな店もあったようだ。それが交通会館などの出現によって、モダンな街へと変貌していった。戦後の昭和を象徴する建物の一つ。

「交通飯店」はこのビルの地下にある。ここは洋食屋の「キッチン大正軒」や「あけぼの」、長崎ちゃんぽんの老舗「桃園」、甘味処「おかめ」など昭和の知る人ぞ知る敷居の低い名店が並んでいる。村長の好きなスポットの一つでもある。
          交通飯店 
        タイムスリップ?

その奥まった、死角のような場所に「交通飯店」がある。そこに佇むと、どこか場末のさびれた飲食街にでもタイムスリップしたような気分になる。入り口に店主(?)のイラストがあり、「営業中」の文字も見える。メニューのサンプルケースもどこか懐かしい。店は12席ほどのカウンターと小さなテーブルだけ。
          交通飯店① 
         交通飯店の世界

正午から1時過ぎ頃までは、サラリーマンやOLで一杯だが、時刻が2時過ぎだったので、客は二人ほど。村長はここのチャーハンが「谷ラーメン」の半チャーハンの次に好きで、宮仕え時代にはたまに寄ったりした。むろん今回も「チャーハン」(税込み730円)を頼んだ。
          交通飯店③ 
        価格は平成だが・・・

注文と同時に口数の少ない店主が中華鍋をリズミカルに動かし、同時にいい匂いが辺りに立ち込める。7分ほどで、気さくな女将さんが「はい」と盛りのいいチャーハンとスープを置く。真っ黄色のタクアンが二切れ。ポエム。店主の隣りで仕込みをしている若い男は多分ご子息だろう。こちらも黙々と仕事をしている。
          交通飯店④ 
          昭和のチャーハン

レンゲでスープをひと口飲んでから、チャーハンへと進む。スープは濃いめのラーメンスープで、中華料理屋のごくフツーの味。だが、チャーハンはひと口食べた瞬間、職人の技を実感することになる。
          交通飯店1 
          濃いめのスープ
          交通飯店⑤ 
          見事な盛り

具は卵(多分1個)と普通のハム、それに刻んだ長ネギだけ。味は塩味で、やや物足りないほど薄味。だが、ライスの一粒一粒にていねいに火が通っていて、ムラというものがまったくない。つやのあるパラパラ感。脂は多分ラードで、それが見事な旨みの潤滑油に昇華している。薄味なので、つい醤油を点々とかけたくなるが、濃いめのスープでその誘惑を断ち切る。チャーハンの旨みがじわじわと広がってきた。
          交通飯店⑧ 
          ラードの香り
          交通飯店⑨ 
          昭和の断層
          
チャーシューを使わないのが少々残念だが、それは店主のポリシーなのだと思う。女将さんによると、店は「43年ほどになります」とか。すると、オープンしたのは昭和47年(1972年)あたりということになる。あさま山荘事件が起き、田中角栄が首相になった年
          交通飯店10 
      これこれ、黄色いタクワン

かなりボリュームがあるので、食べ終えると腹が一杯になる。懐かしい真っ黄色のタクアンがいいアクセントになっている。聞いてみたいことが沢山あったが、黙々と中華鍋を動かす店主を見ていると、「すべてはチャーハンの中にあるぜ」と無言で言われている気がして、いい余韻を残したまま立ち去ることにした。昭和は遠くなりにけり、ではなく、昭和はしっかり続いている。

本日の大金言。

新橋駅前ビル1号館、東京交通会館など、新橋・有楽町・銀座界隈にはいい昭和がまだまだ残っている。スマホの世界ではなく、自分の足で、安くて職人のいるいい店を探す。そこから「今」を逆照射して見ることも、たまには必要だと思う。


                  交通飯店11 


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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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