下町大衆食堂のポークソテー

 「大衆食堂」という言葉はほとんど死語だが、どっこい東京・下町には実にいい大衆食堂がしっかり生き残っている。

このディープな世界を知らないのは人生の三分の一を損しているようなもの。そう断言してしまいたくなる。

以前、京都グルメ先生、酔拳官長、北欧詩人とご一緒した浅草の「水口食堂」をはじめ、立石の「ゑびすや食堂」、恵比寿の「こづち」などがすぐ頭に浮かぶが、いずれも昭和20年代に「食堂」とか「食事処」という看板を掲げている。戦後日本のシンボルの一つだと思う。

居酒屋のようだが、居酒屋ではない。和食ばかりでなく、洋食メニューもある。手抜きがない。午前10時ごろから店を開け、ビールやホッピー、日本酒、それにツマミ類も手抜きなく出し、地元の常連が昼酒を楽しんでいる。
         天将 
       大衆食堂は不滅だ

十条銀座商店街に入るとすぐのところにある「大衆食堂 天将」もその一つ。慌ただしい一週間を終え、茅場町の御用に行くついでに、回り道して立ち寄ることにした。時刻は午後2時過ぎ。「大衆食堂」の大きな屋号と「和食 洋食」の文字。それに海老茶の暖簾には店名の脇に「お食事処」の文字まで入っている。ここが昭和22年創業の「天将」である。
         天将① 
         ポエムな店先
         天将② 
         ポークソテー!

料理のサンプルケースが浅草「水口食堂」などとほとんど同じ全方位型。店内に一歩踏み込むと、ホッピーを飲む常連客の姿が目に入った。洒落たオヤジが競馬新聞を黙々と読んでいた。若女将(?)が「らっしゃい」とこちらを見る。下町の気さくな応対が心地よい。
         天将⑤ 
         日本の宝か
         天将⑥ 
         暖簾の内外

メニューの中から「ポークソテー」(税込み750円)を頼むことにした。ライスは別料金で小(130円)を頼んだ。「みそ汁はどうなさいますか?」「お願いします」。こちらは50円。合計930円ナリ。サンプルケースの見事なポークソテーが頭の中にあり、その期待で小さな胸(まさか)がふくらんでいる。

正面奥の暖簾の仕切りの向こう側が厨房になっているようで、そこからいい匂いが流れてくる。待ち時間は12~13分ほど。白い洋食皿に盛られたポークソテーは、サンプルケースとやや違っていた。だが、デミグラスソースがたっぷりかけられたポークソテーは厚さが1センチほど、7つに切り分けられていた。自家製のポテトサラダがいい具合に添えられていた。
         天将③ 
         ポークソテーさま
         天将⑦ 
         うわー(歓声)

まずはみそ汁。なめこ汁だが、しじみの出汁が効いていて旨い。浅草「水口食堂」アサリのみそ汁ほどの感動はないが、いいレベル。ポークソテーは見た目はデミグラスソースが濃そうだが、かなりの薄味で、中央の一切れには溶けるチーズがかかっていた。このさり気ない手の込みよう。
         天将⑧ 
         みそ汁の実力
         天将10 
         脂身と赤身
         天将11 
       とろけるチーズが・・・

肉は柔らかく、きれいな脂身がしっかり付いていて、うれしくなった。ライスの旨さとポテトサラダの甘さも印象に残る。途中で、ポークソテーに醤油を数滴垂らしてみたら、村長のツボにハマった。つい醤油好きの本性が出てしまう。明るい若女将の声と常連客のやりとり。いい時間が流れている。

ホッピーを頼みたくなったが、御用仕事が待っているので、我慢がまん。空色の仕切り暖簾の文字にふと目が行く。「楽しいときも 悲しいときも いつも一緒」。苦しいときはどうなんだろう? がんばれ、清原。がんばれ、田高。がんばれ、練馬。お前も、だよ。

本日の大金言。

「大衆」という言葉は戦後、輝かしい言葉だったと思う。格差社会はこの大衆という言葉を奪いつつあるのではないか。数パーセントが富を独占する社会の危うさ。



                 天将3 




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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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