若冲も食べた?にしん棒煮の味

 待ち時間が最大320分(5時間20分!)というアンビリーバボーな「生誕300年記念 若冲展」(東京都立美術館)が本日で終わる。京都にお住いのグルメ先生おすすめの絵画展だったが、村長はあまりの加熱ぶりに恐れをなして、結局行かずじまいだった。

友人と3人で押しかけた村民2号も炎天下の大行列に方向転換、同じ上野公園の東京国立博物館で開催されていた「黒田清輝展」(こちらも混み合っていたそう)を楽しんできた。伊藤若冲の最近の人気ぶりには驚かされる。

NHKが二度にわたって特別番組を組んで放送したことが、ブームの過熱に油を注いだと思う。ここからが本日の本題。

ちょうどひと月前、4月24日(日)に放送された「若冲 天才絵師の謎に迫る」を岩手・一関の安ホテルで見ていた村長はおったまげた。NHKの取材班がこれまで未公開だった京都・信行寺の天井画に入っていたからである。伊藤若冲最晩年の傑作とも言われる作品で、テレビで公開されるのは初めてのこと。

信行寺は浄土宗の古刹で、京都にお住いのグルメ先生の菩提寺でもある。何を隠そう、約3年ほど前に村長はグルメ先生のご案内でこの天井画をこっそり見ていたのである。「この若冲の天井画はほとんど知られていまへん。メディアも知らない。面白いでっしゃろ」グルメ先生の慧眼にはしばしば驚かされるが、今回は輪をかけておったまげた。
         松葉① 
         あの松葉の「鰊棒煮」

そのグルメ先生おすすめの一品が京都「松葉」の「鰊棒煮(にしんぼうに)」(2本入り税込み864円)。「松葉」は創業が文久元年(1861年)で、南座隣に本店を構えている。にしんそばがあまりに有名だが、にしん棒煮をそばに初めて乗っけたのは二代目で、明治になってからのことらしい。

にしん棒煮は山国でもあった京都の伝統料理で、北海道から北前船で運ばれてきた身欠きにしんを、時間をかけて米のとぎ汁に浸し、さらに灰汁抜きをし、日本酒、醤油、砂糖、みりんなどでじっくりと炊いたもの。手間暇がかかり、京都の食文化の粋の一つ。
         松葉② 
         京都食文化の粋

それが目の前にある。若冲が生きていた時代(1716~1800年)ににしんそばは誕生していなかったが、にしんの棒煮はあったかもしれない。そこで村長は、そばではなく、ご飯の上に乗っけることにした。いわばにしん丼、である。
         松葉③ 
         そばではなく黒米で
         松葉⑥ 
       このテカリの凄味
         松葉⑤ 
         裏側の黒さ

ご飯は黒米を使うことにした。これが想像以上に旨かった。にしんの棒煮は多分、そばに乗せた方が味わいが柔らかくなり、京都の食文化に合うとも思うが、レンジで温めることによって、柔らかさが増す。味がかなりこってりとしていて甘い。ガサッとした崩れ方がいい歯触りになる。小骨など気にならない。にしんの風味がじわりじわりと口中に広がってくる。
         松葉⑦ 
         にしん丼にする
         松葉⑧ 
         美味の予感
         松葉⑨ 
       極楽への入り口?

黒米と一緒にかっ込むと、実に旨い。京都食文化の歴史と凄味が柔らかな津波となって味覚中枢に押し寄せてくる。伊藤若冲がもしこれを食べていたとすると、不思議な気分になる。そう考えた方が面白い。

「そんなアホな。若冲はんは青物問屋の倅で、金持ちやったから、黒米ではなく白米やった思うで。第一、会津の足軽の末が松葉のにしんの棒煮を食べること自体がありえんこっちゃ。不謹慎いうこっちゃで。ひっひっひ」
西の方から妙な声が聞こえてきた。

本日の大金言。

「にしんそば」は明治15年(1882年)、松葉二代目が考案したもので、関東の人間にとっては驚きのそばだった。にしんの棒煮自体は関東以北でも食べられていたようだが、それをそばに乗っけるのは、当時はミスマッチの極みだったようだ。伊藤若冲が評価されたのもごく近年のことで、若冲自体「私の絵は千年後に理解される」と半ばあきらめていた節がある。にしんの棒煮と若冲のこじつけ二題話、お終い。


                松葉10
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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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