人形町で「京の黒い中華そば」

 東京・兜町の定例編集会議の合間を縫って、午後2時過ぎ、人形町のラーメン店へと足を運んだ。ただのラーメン屋ではない。あの京都の老舗中華そば屋の暖簾分けの店である。

独特の真っ黒いスープと茶色い麺が特徴で、京都では「第一旭」や「ますたに」よりも古い。創業が昭和13年(1938年)。いわば京都ラーメンの源流とも言える存在。その名も「新福菜館(しんぷくさいかん)」。黒い焼きめし(チャーハンとは言わない)も名物で、これをセットで食べるのが通だと言われている。
         新福菜館  
      あの京都の名店が・・・

去年、1月末に東京・麻布十番に進出、それが成功して、8月には秋葉原、そして10月に人形町にも暖簾を下げた。甘酒横丁「玉ひで」のちょうど向かい側。村長は「ますたに」など京都ラーメンの脂のこってり感にハマった時期もある。和食と違って、京都のラーメンは淡泊ではない。豚バラチャーシューが薄切りで、その数が多いことなども特徴。九条ネギの彩りも京都ならでは、だと思う。
         新福菜館2  
         中も京風?

京都町家風の店構えで、引き戸をガラガラと滑らせて中に入ると、意外に狭い。カウンター席が5席ほど。2階もあるようだが、見えない。左手が厨房になっていて、そこに中年の店主と若い男性スタッフがいた。券売機で「お得なセットメニュー 中華そば(並)+焼きめし(小) 950円」を押した。中華そば(並)は単品だと700円、焼きめし(小)は400円。150円ほど安くなる計算。
         新福菜館② 
         安いか高いか

注文を受けてから作っているようで、その後ろ姿に哀愁がある。待ち時間は10分ほど。何とも言えないいい匂いがドンブリから立ち上がっている。噂に違わぬ真っ黒いスープがキラキラと脂を浮かせて湯気を立てていた。大量の九条ネギの下には湯がいたもやし、さらには薄切りのチャーシューが4~5枚ほど見えた。その横には黒光りした焼きめし。ポエム。
         新福菜館③ 
         じゃーん、お出まし
         新福菜館⑤ 
         黒い中華そば

まずはスープ。これが驚くほどまろやかな味わいで、見た目の濃さとのギャップに驚く。鶏ガラと豚ガラ、それだけではない。何か出汁のようなものも潜んでいると思う。ほんのりと甘みさえ感じる。
         新福菜館⑦ 
         これこれ
         新福菜館⑧ 
         麺も独特
         新福菜館⑨ 
         チャーシュー
         新福菜館10 
         京都と同じ

麺がまた独特で、黄土色の中太ストレート麵。モチモチと紙一重のごわごわした食感で、これが悪くない。スープがよく絡む。初代は屋台から始めたそうで、その時の作り方をほとんど変えていないそう。

「この黒は何ですかねえ。まさかイカ墨とか」
企業秘密です、という答えが返ってくるのを承知で聞いてみる。

「いえ、中華醤油ですよ。それ以上は・・・」
と微妙な答えが返ってきた。中華醤油はいろいろあり、「老抽(ラオチョウ)」などはたまり醤油にキャラメルなどを加え、甘くしている。それかもしれないが、確証はない。創業77年の味の秘密は謎のままにしておいた方がいいのかもしれない。
         新福菜館⑥ 
         秀逸な焼きめし

黒い焼きめしは具は卵と九条ネギだけで、肉の姿は見えない。だが、こってり感と一粒一粒のパラパラ感が一つのカオスのように漲(みなぎ)っていた。チャーハン好きの村長もこの旨さには素直に脱帽したくなった。あまり暖簾を広げてほしくないが、東京で京都の独特の味を楽しめるのは悪いことではない・・・としておこう。

本日の大金言。

京都のラーメン文化も屋台の中国人から始まっている。喜多方ラーメンや佐野ラーメンも同じ。それが日本の地で花開いている。政治よりも食文化。そこから日本と中国を見るのも案外面白い。



                 新福菜館11 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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