隠れ横綱「人形町の一枚どらやき」

 今回ご紹介するのは東京・人形町「清寿軒」のどらやき、である。どらやき好きにとっては、東京三大どら焼きと言われる上野(日本橋)・うさぎや、浅草・亀十、東十条・黒松に並ぶ、いやそれ以上の存在という声もあるほどの代物。

村長が東京・人形町に出張することを嗅ぎ付けた恐るべき食通・ドン圭氏が「そんなら清寿軒のどらやき、5個買ってきてくんないかい」と、くしゃくしゃに丸めた千円札1枚と百円玉1枚をポンと手渡した。清寿軒のどらやきは大判(税込み220円)と小判(税込み180円)があり、どうやら大判を5個という意味らしい。シメシメ・・・ドン圭氏といえども、清寿軒のどらやきは小判が希少だということを知らないらしい。
         清寿軒④ 
         清寿軒に到着

あまりの人気のために並ぶと大変なことになるので、事前に予約を入れ、当日の夕方4時、所用を終えてから立ち寄った。すでに入り口には「本日のどらやき完売につき閉店させて頂きます。」という木札がかかっていた。恐るべき人気ぶり。
         清寿軒⑧ 
         午後4時でこの状態
         清寿軒⑥ 
       箱詰めとバラ売りもある

村長が予約したのはバラで、大判3個と小判2個。合計1020円ナリ。むろん狙いは希少な小判。清寿軒の創業は文久元年(1861年)。あんこ作りから皮まで、毎日決まった分を七代目当主が昔ながらの製法で作り続けている。他に羊羹もあるが、どらやきが有名になり過ぎて、陰に隠れてしまっている。おそらく羊羹も美味いに違いない。

ウマズイめんくい村に持ち帰って、まずはその晩のうちに賞味することにした。賞味期間は3~4日ほど。大判はうさぎやなどと同じ二枚重ねだが、小判は一枚であんこを包んだ形で、見た瞬間、その圧倒的なあんこの量に度肝を抜かれる。ため息が出るほど見事なつぶあん、それを包む皮がぎりぎり焼きすぎ寸前の濃いきつね色で、かようなどらやきは多分ここだけのものだと思う。
         清寿軒② 
         小判(右)と大判(左)
         清寿軒⑤ 
         これが小判とは・・・
         清寿軒③ 
         たまらん

あんこの厚みが優に4センチほどはある。皮は手に持つとべたっとするほどしっとりフワフワに焼かれている。ガブリと行く。皮からハチミツの焼けた風味が口中に広がる。味りんの風味もどこかに。そのすぐ後から、柔らかく炊かれたつぶあんがドドドと押し寄せてくる。かなり甘め。じっくりと炊き上げているという北海道十勝産の小豆と白ザラメの風味が実に素朴。洗練というよりも素朴な手作り感。あんこ好きにはたまらないどらやき、ではある。
         清寿軒⑦ 
     一枚であんこを包んでいる

もう一つ、大判へ。こちらは小判ほどあんこのインパクトはないが、素朴に美味い。バランス的にはこちらのほうが安心感がある。日本橋うさぎやなどのきれいな外見ではなく、焦げ付く寸前の皮のハチミツ感が特長。どこか野暮ったい。これもかなりの職人技に違いない。
         清寿軒⑨ 
         こちらが大判
         清寿軒1 
         ちょいと失礼
         清寿軒12 
       たまらん、たまらん

「小判は凄すぎて、ちょっと手が出ない。大判の方が美味いわ。並んでも買いたいというファンの気持ちもわかるな」(村民2号)
「さっきドン圭氏から電話があって、珍しくホメてた。こんなに美味いどらやきはこのあたりじゃないよ、ってね。それは正しい(笑)」(村長)

二日後、取り置いていた最後の大判1個を賞味した。どらやきは焼き立てよりも1~2日ほど置いた方が味がなじんで美味いと思うからだ。見立て通り、味わいがさらに深まっていた。

本日の大金言。

たかがどら焼き、されどどら焼き。上野うさぎやが二枚重ねのどら焼きを売り出したのは大正になってからと言われている。それまでのどら焼きは一枚だったようだ。きんつばとほとんど同じような作り方だったという説もある。清寿軒の小判は変形一枚。どら焼き界の隠れ横綱という声もある。



                 清寿軒14 


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR