小原庄助の謎とニシンの山椒漬けの夜

 綾瀬はるか主演のNHK大河ドラマ「八重の桜」(来春スタート)で盛り上がる会津。しかし、赤羽彦作村長は、戊辰戦争の悲劇によって作られた会津人のイメージにいささか違和感も覚えている。白虎隊や娘子隊の悲劇とか一族郎党の自刃とか、最後まで徳川に忠誠を尽くして武士道を貫いたとか、どこか悲劇を美化することに「ちょっと違うのではないか」と思ったりするのだ。

「桜」は見て楽しむものであって、桜になったらお終いだ。美化も何もない。彦作村長は会津の町中を歩きながら、会津人のイメージの真逆に位置する小原庄助さんのことを思った。「朝寝朝酒朝湯が大好きで、それで身上つぶした」あの方である。一部でウワサになっている小原庄助という同名の人物のお墓がある「秀安寺」に行ってみた。本物の小原庄助さんのお墓なのか? たまたま住職がいて、話を聞くことができた。

          小原庄助 
             小原庄助さんのお墓がここに・・・

「確かに小原家のお墓があります。しかし、ここに眠っている小原庄助さんは、唄の小原庄助さんとはまるで人格が違ったようです。真面目なお方で、戊辰戦争では戦死しています。唄の小原庄助さんにはいろいろな説があるんですよ。材木で大儲けして、東山温泉で連日連夜豪遊していた商人説があれば、酒がめっぽう強かった漆器職人の久五郎説もあります。まあ、東山温泉が宣伝を兼ねて、こういう人物がいたらなあ、と願望も交えて唄に歌ったということなのかもしれません」

小原庄助さんが架空の人物だとしても、彦作村長は会津人のイメージを覆す存在として、いつも頭の片隅にある。そうだ、今夜は小原庄助になった気分で、会津の夜を散策しよう。その瞬間、彦作村長の頭に地酒と「ニシンの山椒漬け」の神々しい姿が浮かんだ。

友人の一言居士タカじいを誘って、居酒屋「だいこん家」のノレンをくぐった。タカじい推薦の店である。

          だいこん家⑨  

カウンターと座敷があり、料理人のご主人と女将さん2人で切り盛りしていた。カウンター好きの彦作村長は座るなり、ご主人をチェックした。向こうもチェックしているのがわかった。無口でひたすら料理に専念している姿に好感を持った。
目的の「ニシンの山椒漬け」(400円)と「会津中将 純米酒」(1合500円)を注文。タカじいは生ビールと「タコのから揚げ」(500円)。乾杯した後、ニシンの山椒漬けを賞味。この料理は知る人ぞ知る会津の郷土料理。乾燥させた身欠きニシンを山椒の新芽と一緒に醤油、酢、日本酒少々などに1週間から2週間ほど漬け込む。江戸時代初期からの料理法で、新潟港から運ばれてきた身欠きニシンで作る。海がない山国・会津独特の伝統料理である。これが実に日本酒とよく合う。

         だいこん家① 
           香りを伝えられないのが残念

山椒の香りとともに、酢醤油に漬け込んだ身欠きニシンが「早く食べておくんなんしょ」とささやき始めている。あまり関係ないが、綾瀬はるかが会津弁を猛特訓中で、この「おくんなんしょ(ください)」などの言い回しに苦戦しているらしい。

乾燥した身欠きニシンなので、漬け込んだといっても、かなり固い。しかし、この固さがじわじわといい旨味をにじみ出させるのである。ここがわかるかわからないかで、ニシンの山椒漬けに対する見方が変わってくる。こんなの固くて食えないとなるか、その奥の桃源郷にたどり着けるか。もちろん、彦作村長は後者である。口中にニシンと山椒と醤油だれのハーモニーが広がってくる。それを噛みしめながら、純米酒を流し込む。何という幸せ。小原庄助さんもこの至福を味わったに違いない。

          だいこん家⑤ 
            サラダもイケた
 
「うちのは、1か月漬け込むんですよ。店によっては砂糖を入れるところもありますが、うちは入れません。で、長く漬け込む。この方が旨いと思います」
無口なご主人が、さらりと、秘伝を話してくれた。
酔いの回ってきたタカじいが「本郷焼の器に漬け込むのが伝統なんだよ。あんたもニシンと同じで漬け込みが足りない。苦労が足りない。修行が足りない」などと彦作村長に説法し始める。タカじいは仏教にやたらと詳しい。天上がぐるぐる回ってきた。
「小原庄助さんのようになりたいなあ」
彦作村長のつぶやきが会津の夜に融け込んでいった。2軒目をどうしようか? ハシゴは外されているのに2人は気づかない・・・。

           

本日の大金言。

「八重の桜」と「庄助の酒」。どっちを選ぶかと問われたら、後者を選びたい。会津は悲劇より喜劇が似合う。


          だいこん家⑧ 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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