頂点か? 山本道子のマドレーヌ

 先週末の話になるが、京都から天空先生が半蔵門に舞い降りた。先月は今西軒のおはぎを30個も持参し、居並ぶ食通たちを仰天させたが、今回はお忍びなのでほとんど手ぶら。料理屋でお酒と肴をつまみながらのディープな時間。

話が豆大福から古今東西の和菓子などの裏の裏情報に及び、これがホントの蜜談という展開になった。その模様は天才(一部に天災という声もあるが)ブロガー「渓流斎日乗」に書かれてしまった。ところどころ記憶違いがあるが、宇宙から帰還したばかりだから仕方がない。

で、本題。一瞬だけ村上開新堂の話になった。すぐ近くに日本の洋菓子界の草分け、東京・一番町「村上開新堂」がある。明治7年(1875年)創業の、皇室御用達の洋菓子店で、明治天皇が京都から東京に遷座した際に、初代村上光保が宮内庁から洋菓子製造の習得を命じられ、その後日本初の洋菓子店を開いたという歴史を持つ。
         山本道子の店① 
         山本道子の店
         村上開新堂① 
     さり気なく村上開新堂の屋号

ここは敷居が高く、「一見さんお断り」の伝統を持っている。京都にも村上開新堂があるが、こちらは初代の下で修業した甥っ子が明治40年(1907年)に開業した庶民的な洋菓子店。敷居が低く、誰でも買うことができる。同じ暖簾なのに、「まったく別の店です」(東京)とそれぞれ素っ気ない。

このあたりの歴史はややこしいので、詳しくは触れないが、村長は会合の前に東京の村上開新堂の五代目でもある「山本道子の店」に立ち寄っていた。ここのマドレーヌを賞味したかったからである。ここもまたややこしいのだが、「山本道子の店」は村上開新堂と同じ建物にあり、別ブランドとして一般に開放して焼き菓子類を販売している。それでも製造が追いつかないそう。
         山本道子の店② 
         焼き菓子とクッキー類

村長は予約しておいた「焼菓子詰合せ」(6個入り 税込み1460円)をリュックに入れ、「ディープな蜜談」を楽しんだ後、ウマズイめんくい村に持ち帰り、賞味することにした。
         山本道子の店③ 
         これこれ

三島由紀夫が絶賛した下田「日新堂」のマドレーヌ、天空先生折り紙つきの京都村上開新堂のマドレーヌはすでに賞味している。山本道子のマドレーヌはどんな味がするのだろう? 期待で小さな胸がときめく。

貝殻形(ホタテ形)の見事なマドレーヌで、包みを解いた途端、焦がしバターとハチミツの風味が広がった。焼き色がかなり濃く、手に触れると、しっとりと重厚に焼き上がっていることがわかる。「村上開新堂のシェフが焼いてるんですよ」(店のスタッフ)。うむ。1個当たり210円。安くはないが、希少なのでそう文句は言えない。
         山本道子の店 
         シャレた包装
         山本道子の店② 
         希少マドレーヌ
         山本道子の店⑤ 
         立ち上がる風味

ひと口かじると、まず濃厚なバターの風味が押し寄せ、ハチミツと小麦粉、さらにはブランデー(?)のような隠し味と甘い風味が混然一体となって二重三重に押し寄せてきた。どこか素朴な手作り感もある。京都村上開新堂のマドレーヌとよく似た味わいだと思った。同じ貝殻形でも京都のものはタテ型。こちらはヨコ型。
         山本道子の店⑦ 
         横からの厚み
         山本道子の店1 
         見事なホタテ形
         山本道子の店⑥ 
       裏側の重厚感
         山本道子の店⑧ 
         天国が近い?

「高級なマドレーヌだというのはわかるけど、村長みたいにヘンに深入りしたくはないわ。私はガレットの方が好きだな。ブラウニーも美味そう。京都の天空先生はこんなものを毎日食べてるのかしら? 今西軒のおはぎとか、信じられない世界だわ」

「まさか。毎日カスミを食ってるらしいよ。ときどき人も食っているらしいよ(笑い)」

「今回は村長のミスで、せっかく作った梅ジャムを献上するのを忘れちゃったけど、今度来たときは忘れないでね」

「でもいつ来るか、わからない」

「糸電話があるでしょ?」

「・・・・・」

本日の大金言。

たかがマドレーヌ、されどマドレーヌ。マドレーヌ一個に宇宙を見ることだってある。なんてね。


                  山本道子の店10 

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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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