奥会津「裁ちそば」のどんでん返し

 ぎっくり腰で延期していた奥会津・檜枝岐(ひのえまた)に出かけることにした。3連休の2日目のこと。狙いの一つはここの裁ちそば、である。

ポンコツ車をぷかぷか飛ばす。深緑の山々と渓谷を見ながら、まず到着したのが「前沢 曲家集落」。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選ばれている茅葺き屋根の集落で、大内宿ほど観光化されていない。
         そば処曲家① 
       まずは「そば処 曲家」へ

この集落の入り口にあるのが「そば処 曲家(まがりや)」。明治期に建て替えられた古民家をそのまま使ったそば屋で、奥会津の人気スポットの一つになっている。

「裁ちそばは檜枝岐が有名だけど、この舘岩地区のそばも裁ちそばで、特にこの店はガイドブックなどでも必ず紹介されているんだ」
と、村長が村民2号に講釈した。だが、村長は遠い昔に裁ちそばを賞味したことはあるが、ほとんど付け焼刃の知識しかない。
         そば処曲家③ 
         天ざるセット


広々とした古民家の向こうには舘岩川の清流が見える。驚くほどの透明度。その窓際の席に腰を下ろして、メニューを見る。「人気№1」と表記された「天ざるセット」(税込み1570円)を頼むことにした。裁ちそばと山菜の天ぷら、それにはっとう、冷奴など小鉢が2種ほど。安くはないが、その分期待も高まる。

だが、窓から見える景色も雰囲気も素晴らしいのに、肝心の「裁ちそば」が想像とは違った。地粉100%で、つなぎは水だけ。そのため一本一本がブツブツと短く切れているはずなのに、まるで機械で打ったように手打ち感がない。一本が長いのも気になる。あれれ?
         そば処曲家④ 
       雰囲気はいいが・・・
         そば処曲家⑤ 
         裁ちそばは微妙

天ぷらはカラッと揚がっていて美味。根曲がり竹や高野豆腐の天ぷらなど凝った食材も悪くない。

「どうも期待外れだね。そばの風味も期待していたほどではない。観光地の裁ちそばって感じ」
「私は十分美味いと思うわ。村長の期待が大きすぎたのよ」
「そばも人生も思い通りには行かないなあ」
         民宿いせや① 
       民宿「いせや」の驚き

         食堂いせや③ 
       隣りは食堂「いせや」
         食堂いせや⑤ 
      こちらは食堂のメニュー

その夕、思わぬ展開となった。泊まった民宿「いせや」が想像を超える世界で、築130年以上の建物に目を見張らされた。ほとんど宣伝していない古民宿で、多分、庄屋か豪農の家柄だと思う。湯ノ花温泉の中にあり、源泉掛け流しの共同浴場も目の前にある。ガイドブックにはほとんど出ていない世界。

そこで夕飯の締めに出され裁ちそばが素晴らしかった。見事な裁ち方で、村長がイメージしていた裁ちそばそのものだった。昼は隣で、「食堂 いせや」を営んでいる。プロのそば職人がここにもいた。そばは見事な挽きくるみの十割そばで、細切りのエッジといい、コシといい、風味といい申し分ない。一本当たりが短い。これぞ裁ちそば。隠れた名店を発見の思い。ガッカリした分、喜びも倍加した。
         民宿いせや② 
       ようやく本物と出会った
         
民宿いせや③ 
         風味とコシとエッジ
         民宿いせや④ 
         いいこともあるさ

 その他の料理もイワナの炉端焼き、馬刺しなど、ぜい沢な山人(やもうど)料理がズラリと並んでいた。大どんでん返しと小躍りしたくなった。

「メディアに出ないところに本物があるってことだなあ。この内容で一泊二食付き7200円というのも凄いと思うよ。前半は期待外れだったけど、後半にこんな世界が待っていたとはね」
         民宿いせや⑥ 
       出汁の効いたツユ

「ここの主人がさり気なく言ってたけど、そばも自家栽培してるんだって。それを全然宣伝もしていない。こういう世界は大事にしたいわね」

この後の旅も、ガイドブックやネット情報に裏切られることになるとは、この時点では村長も村民2号も知らない。ガイドブックやスマホに頼り過ぎると、本物を見失ってしまうことだってある。

本日の大金言。

情報は自分の目と舌で探すしかない。だが、それすらわからない。失敗を繰り返す。そこからしか本物に出会うチャンスは起きないということか?



                 民宿いせや⑨ 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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