下町老舗洋食屋のポークソテー

 東京・人形町から浅草にかけては古き良き洋食屋が多い。それも下町の洋食屋。今回取り上げるのは、その中でも穴場だと思う入谷の老舗洋食屋である。

こう書くと「ははあ~ん、香味屋(かみや)を書くつもりだな」とお思いになる方がいるかもしれない。だが、ウマズイめんくい村は財政事情もあるが、それ以上に足場をB級に置いている。悲しいかな香味屋のような高級レストランは敷居が高すぎる。それに普段着のまま行きたい。
         洋食よしむら 
         下町の良き洋食屋

いかんいかん。もったいぶり過ぎた。本題。もう一つの老舗洋食屋、昭和28年(1953年)創業の「キッチンよしむら」のランチを取り上げることにしよう。日比谷線入谷駅からすぐ、言問通りに面した下町ビルのすき間に二階建ての古い、歴史的な建物が見えてくる。遠くにはスカイツリーも見える。「洋食 キッチンよしむら」の看板と白い暖簾。その外観を見ただけでもここが古き良き洋食屋であることがわかる。
         洋食よしむら① 
         入りたくなる

どこかパリのビストロにも通じる世界。ここも夜(ディナー)に来たら、「香味屋」ほどではないが、そう安くはない。だが、ランチが狙い目で、ごく庶民的な舌代で、ここの売りでもある「ドミグラスソース」を味わうことができる。

店内はやや薄暗いが、カウンター席とテーブル席がこじんまりとある。2階もあり、そこはテーブル席のようだ。カウンターの対面が厨房になっていて、そこにコック帽姿のややご高齢の店主が一人で料理に励んでいた。カツを揚げる軽やかな音といい匂いが流れてくる。女将さんが客席係を担当、つまり二人で店を切り盛りしている。ポエム。
         洋食よしむら② 
         ランチが狙い目
         洋食よしむら③ 
         いいコックがいる

ランチメニューの中から、一番高い(少々見栄を張ってしまった)「C ポークソテー パイナップル添え」(1090円)を頼むことにした。店主がフライパンを動かし始める。客は2階も入れて、5~6人ほどいるようだ。ほどほどの混み具合がゆったりしたいい時間を作っている。

待ち時間は15~6分ほど。丁寧な仕事ぶりが見て取れる。真っ白い磁器皿に見事なポークソテーがじゅうじゅうと音を立てるようだった。厚さは1.5センチほど。思ったよりデカい。その上からドミグラスソースがたっぷりとかかっていた。こんがり焼けたパイナップルが寄り添っている。千切りキャベツとカールのマカロニがいぶし銀の光を放っている。
         洋食よしむら④ 
         ポークソテー、登場
         洋食よしむら⑤ 
         ワオー(ため息)
         洋食よしむら1 
     ドミグラスソースの歴史
         洋食よしむら10 
         脇役の存在

それに盛りのいいライスとみそ汁。まずはみそ汁をひと口。かなり濃いめの赤だしで、具はワカメだけ。ごくフツーの味わい。気を取り直して、メーンのポークソテーへ。これがさすがの味だった。ドミグラスソースは初代(現在は二代目)からの継ぎ足しで、この店の生命線と言っていい代物。初代は浅草の洋食屋でコック修行をして、昭和28年にここに店を出したようだ。ドミグラスソースはその時からのもの。
         洋食よしむら⑥ 
         ガブッと行け
         洋食よしむら⑨ 
       パイナップルの歴史

その思いの詰まったドミグラスソースは赤みが強く、思ったよりも甘め。いい酸味が底に流れている。肉はロース肉で、ドミグラスソースを絡めて食べると、妙に柔らかすぎない肉の歯ごたえとともにいい食感が口中に広がる。焼き加減が絶妙だと思う。脂身を抑えているが、個人的にはもう少し脂身があるとうれしい。
         洋食よしむら11 
         1+1=3

パイナップルを添えるのは古い洋食屋の伝統の一つだが、以前銀座で食べたものよりもボリュームといい焼き加減といい入谷の方が素晴らしい。洋食は下町に限るなあ、と思いたくなる。ただライスは盛りがいいが、それほどの美味さは感じない。みそ汁とともにメーンのポークソテーほどの感動はない。

トイレも古いが、きれいだった。見えないところまで当り前のようにキチンと掃除されていた。まずは古き良き洋食屋をこの舌代で堪能できることに感謝することにしよう。

本日の大金言。

銀座や浅草の人気老舗洋食屋より、ちょいとはずれた場所にある洋食屋は狙い目だと思う。入り口に立つと、その店構えでいい店かどうかある程度わかる。人も店も佇まいに品性が宿ると思う。



                 洋食よしむら12 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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