酒蔵跡でまさかの「300円カレー」

「日本産業界の父」 渋沢栄一の出身地でもある埼玉・深谷市へ。久しぶりに「深谷シネマ」で映画を見ようと思ったからである。深谷シネマは約310年続いた造り酒屋「七ツ梅酒造」の跡地を再利用した市民シアター。渋い映画を上映している。

是枝裕和監督「いしぶみ」の上映時間まで2時間ほど間があったので、遅めのランチを取ることにした。古い酒蔵の跡地にはカフェや豆腐屋、古本屋、雑貨屋などが暖簾を下げている。古い建物をそのまま再利用したレトロ感がポエムである。平日なので人が少ない。
          深谷シネマカフェ1 
      シネマかふぇ「七ツ梅結房」
          深谷シネマカフェ14 
          廃墟ではない
          深谷シネマカフェ① 
          驚き300円カレー

見るからに廃墟のようなカフェ「七ツ梅結房(ななつうめゆいぼう)」が視界に入った。今どきの小ぎれいなカフェとはまるで違う。「シネマカレー300円」の文字に思わず目を疑った。300円のカレーだって? これは入るっきゃない。
          深谷シネマカフェ④ 
          このレトロ感

すすけた暖簾をくぐると、中は昭和がそのまま佇んでいた。大きな木の古いテーブルに椅子が8つほど。ソファ席とテーブル席もある。奥が厨房になっていて、そこにバンダナを巻いた店主が一人。ひと昔前の永六輔のようなお顔。他に客は常連らしい男性が一人だけ。ゴジラの塩ビ人形がテーブルの上で吠えていた。
           
メニューの中から、この店の目玉でもある「シネマカレー」(税込み300円)を頼んだ。あまりに安いので、コーヒー(200円)も追加した。店主は話しかけると必要最低限だけ答えてくれる。
          深谷シネマカフェ③ 
          メニューも昭和

「300円のカレーライスなんて日本一安いんじゃない?

「そうですか。うれしいですね。このカレーはボクの祖父がその昔、群馬・高崎でレストランをやっていて、その時のレシピを再現したものです。全部手作りです。作り方はおじいちゃんに口止めされているんです(笑)」

店はオープンして4年半になるそう。築百年以上の蔵人の住居をそのまま使っている。それ故にお世辞にもきれいとは言えない。それをまた売りにしているのかもしれない。
          深谷シネマカフェ⑥ 
          名物カレー、登場

10分ほどで、ドンブリに入った「シネマカレー」がやってきた。ステンレスのスプーンがそのままで、カレーライスというよりもカレー丼と言った方がいいかもしれない。濃い黄土色のルーに大きめのジャガイモとニンジン。どこか家庭のカレーライスのよう。福神漬けなど脇役がないのがやや寂しい。
          深谷シネマカフェ⑤ 
          カレー丼?

ルーはこってりとしていて、よく煮込まれている。辛さはさほどではない。特別美味とは言えないが、悪くない味わい。ジャガイモとニンジンが固めで、多分後から加えている。タマネギは溶け込んでいるのか、姿が見えない。豚肉はないかと探したが、ようやく一切れだけ見つかった。シネマカレーだけにミステリー風味が隠し味かもしれない。
          深谷シネマカフェ⑧  
          ミステリー?
          深谷シネマカフェ11 
          豚肉発見

ライスの上にルーがたっぷりかかっているので、ライスはカレーおじやのよう。そのレトロ感は古き良き映画のようで、「シネマカレー」というネーミングにふさわしい。ボリュームは少ない。コーヒーの味も★1つほど。だが、300円と200円という安さがそうした今イチ感を払しょくしてしまう。これはこれでいいのだ。
          深谷シネマ2 
          深谷とうふ工房
          とうふ工房① 
          豆乳プリン
          とうふ工房③ 
          昭和の幸せ

敷地内の別の店「深谷とうふ工房」で、デザート代わりに「豆乳プリン」(税込み250円)を食べることにした。きな粉と黒蜜をかけ、豆腐の香りのするプリンを口中へと運ぶと、幸せ感が広がってきた。水もお茶も用意されていないのは寂しいが、人が少ないことを考えると、仕方ないことかもしれない。地方の疲弊を泉下の渋沢栄一はきっと悲しんでいる。


本日の大金言。

渋沢栄一は明治、大正、昭和にかけて、日本の主要な産業にかかわっている。その範囲は第一国立銀行はむろん、東京証券取引所やキリンビールまで多種多様にわたった。「渋沢財閥」を作らなかったことも評価を上げている理由の一つ。その足元の街のこれからが気にかかる。


                 深谷シネマカフェ13 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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