恐るべき京都、花街の「洋食弁当」

 本日テーブルに乗せるのは、京都の花街・宮川町の老舗洋食店で食べた「洋食弁当」である。

グルメ先生と大出氏との待ち合わせ場所が四條南座前となった。グルメ先生は歌舞伎通で、待ち合わせ場所に南座前を指定することが多い。夕方6時前、待ち合わせ完了。グルメ先生はいつもながらオシャレな帽子。大出氏はフランクなスタイル。村長はヨレヨレの綿スーツ姿。

夕暮れが忍び寄る鴨川を遠目に見ながら、グルメ先生の先導で宮川町通りに入った。宮川町は上七軒や先斗町、祇園などとともに京都五花街の一つ。

まるでグラビアのような絵になるお茶屋が並ぶ石畳を歩く。グルメ先生の渋い講釈と毒舌が続く。中国人観光客の多さに辟易しているのが伝わってくる。
          富久屋② 
       花街の一角?

グルメ先生が案内してくれたのが「グリル 富久屋(ふくや)」だった。丸太町の食堂に案内する予定だったようだが、ちょっとした行き違いで、南座で待ち合わせとなってしまったために、歩いて行ける距離にあるこの洋食屋になったようだ。
          富久屋① 
          地味な佇まい
          富久屋③ 
          ポエムやで

だが、この洋食屋がなかなかの店だった。入り口にある、やや寂し気なサンプル棚が古き良き街の洋食屋の必須条件を満たしている。サンプル棚にはわざとらしさがあってはいけない。明るすぎてもいけない。敷居が高くないのも好感。

三条商店街にある、グルメ先生行きつけの「ちから」もそうだが、京都の街の古い食堂の底力には驚かされる。この「富久屋」も創業が明治40年(1907年)。だが、どこにも百年以上の歴史があることを表記していない。「京都では百年くらいの歴史で老舗言うたら笑われます。そんな恥ずかしいことあらしまへんで」祇園の和菓子屋「松葉屋」の店主の言葉が耳に残っている。
          富久屋⑤ 
          メニューの一部

さて、「洋食弁当」(並1360円=税込み)
。グルメ先生は「高い」と言ったが、場所柄仕方がないと思う。生ビールを飲みながら、待っていると、12~3分ほどで、その「洋食弁当」がやってきた。楕円形の漆器の弁当で、ひと目でその実力の高さがわかった。きめの細かい、揚げ立てのフライがいい色で納まっている。店主の姿は奥の厨房の中にあり見えないが、腕のいいコックなのは間違いない。
          富久屋6 
          さり気ないぜい沢
          富久屋⑦ 
          盛りつけの妙

タルタルソースがかかった小ぶりの海老フライが2本、ひと口カツが2枚、それにデミグラスソースで包んだミニハンバーグが二つ。さらに正体不明の唐揚げのような大きめのフライも。ミニトマト、それにシシトウ、レモンも添えられていた。艶やかに炊かれたライスには黒ごまがパラパラとかかっている。タクワンが二切れ。盛りつけも素晴らしい。手抜きがどこにも見られない。ポエム。
          富久屋⑧  
          不思議なフライ
          富久屋⑨ 
          白身魚の正体は?
          富久屋11 
       サクッと揚がったヒレカツ
          富久屋14  
          手抜きがない

正体不明の大きなフライは、プルンとした白身魚で、実に美味い。女将さんに聞くと「ボラです」。海老フライ、ひと口カツ、ミニハンバーグもフツーに美味い。この「フツーに美味い」がフツーに存在していることが京都の凄味ではないだろうか。スマホ片手の観光客が殺到する店などにはない世界だと思う。

街なかに潜む百年洋食屋の底力と、こういう店をフツーに知っているグルメ先生の底力に素直に脱帽することにしよう。

本日の大金言。

東京は下町の洋食屋がいい。京都も裏通りの洋食屋がいいと思う。入り口に余分な飾りやこけおどしのない店がいい。入り口が狭くて奥の深い文化。その先の迷路。別の見方をすると、恐ろしい世界でもある。



                 富久屋15
 
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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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