松阪牛串と絶品刺身の夜

 三重県松阪市といえば、まず思い浮かぶのは松阪牛だろう。高いけど食いたい、食いたいけど高い。

揺れ動く心のまま、午後7時過ぎ、東横インにチェックイン。いざ夕飯へ。松阪を訪れたのは3年ぶり。3年前に行った小料理屋はすでに消えていた。頭を切り替えて、通りを歩くサンダル履きのオッサンに情報収集することにした。すると、まずまずの情報をゲット。「魚の美味い居酒屋」が近くにあり、松阪牛も食べられるそう。「美味いでっせ」とオッサンがニッと笑った。しかも、そう高くない、とも。期待しすぎず、すぐ近い京町へと向かった。
         松阪白③ 
      何思う?松阪城の石垣

松阪は戦国武将・蒲生氏郷が切り開いた城下町で、その後、氏郷は秀吉によって会津若松へ移封された。今でいうと、ポストは上がったものの地方へ飛ばされたようなもの。12万石から91万石の大大名となり、その後、39歳の若さでこの世を去る。「限りあれば吹かねど花は散るものを心みじかき春の山風」という美しい、暗号のような辞世の句を残している。その意味を解くのが村長の秘めたワークでもある。

いかんいかん、つい脱線してしまう。この場は美味いもの探し、である。さて、その貴重な情報こそ「和風居酒屋 梅一(うめいち)」だった。雑居ビルの一階奥に赤ちょうちんが見え、海老茶の暖簾が下がっていた。赤ちょうちんには「寿し」の文字。
         梅一① 
         当たりかハズレか?

入るとすぐ右手が一枚板の長いカウンターになっていて、対面には年季の入った店主と女性、それに配膳係の女の子が二人ほど。雰囲気から地元客が多く、結構混み合っていた。左側には半個室のテーブル席もある。
         梅一② 
         松阪牛の文字

ここで食べた「松阪牛串し」(1本700円)が美味だった。量は少ないが700円なら、めっけもんだと思う。串焼きで、味付けは塩だけ。それにワサビ。生ビールを飲みながら、かぶりつくと、松阪牛特有の甘い脂が口中に広がった。焼き加減はウェルダン。頭に星が宿る。女性スタッフは愛きょうがよく、肉のランクを聞くと、「ウチの大将はいいものしか置いていないので、A4以上です」と軽く言った。
         梅一④ 
         おっ、いい匂い
         梅一2 
         ガブリと行け

だが、村長は、その後に頼んだ「造り 5種盛り」(900円)がさらに気に入った。本マグロの赤身、イカ、鯛、ワタリガニ、ボラ、カツオのたたき、それに鱧(はも)の湯引きまで。5種盛りのはずが、二つ多い。女性スタッフに言うと、「大将のおまけです」。うむむ。
         梅一⑨ 
         思わぬ世界が・・・
         梅一12 
         黄金の時間

大将は元々は寿司職人で、8年ほど前に、ここで和風居酒屋を開いたそう。料理のこだわりが見て取れる。京都の地酒「徳次郎」(1合600円)をチビチビと飲みながら、本マグロの刺身、イカ、鯛・・・と箸がすすむ。特別純米酒「徳次郎」は品のいい濃厚で柔らかな美味さ、京都の酒の実力を改めて思い知らされる。
         梅一10 
         一級品だよ
         梅一14 
         鯛の美味
         梅一13 
         鱧(はも)の湯引き
         梅一15 
         イカの美味

刺身は鮮度といい、旨味の凝縮といい、文句のつけようがない。特に気に入ったのはイカ。甘みとこってり感がひと味違う。聞いてみると「赤イカです」。イカの中でも特に美味と言われる絶品イカである。美味いはずだよ。近くには魚市場もあり、松阪が松阪牛だけではないことを思い知らされる。
         梅一5 
         赤イカだった
         梅一⑧ 
         地酒の中に・・・

ふと地酒の中に「写楽」があることに気付いた。会津若松の地酒で、蔵元は蒲生氏郷が造った鶴ヶ城のすぐ近くにある。それがこの松阪にあることにある種の感情が湧き起こった。蒲生氏郷繋がりではないか? 高揚したままの面持ちで女性スタッフに聞いてみると、「へえー、そうなんですか。知らんかった」というすげない反応。天を仰ぐと、遠くで蒲生氏郷が高笑いしている気がするのだった。

本日の大金言。

松阪と会津若松。今ではこの二つの街の関係を知る人は少ない。戦国武将・蒲生氏郷の造った街が五百二十二年の時を超えて、夜空で交差する瞬間もある。松阪城の石垣と鶴ヶ城の石垣はよく似ている。



                梅一16
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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