秩父名物「わらじカツ丼」に並ぶ

 食欲の秋、真っ盛り。今回テーブルに乗せるのは、知る人ぞ知る秩父名物「わらじカツ丼」である。わらじのようなデカい豚カツ・・・聞いただけでヨダレが出てくる。その本場が小鹿野町。人口1万2000人ほどの小さな町に、わらじカツ丼を出す店が17軒もある。これは行かずばなるまい。

「紫雲山 地蔵寺」を見たいというシバの女王とそば仙人をポンコツ車に乗せて、国道140号線をぷかぷか飛ばした。ダイエットに励む村民2号はお家でお留守番。色付き始めた秩父の山奥に入ってから、国道299号線に入って、さらに行くと、小鹿野町役場が見え、その先に目的のわらじカツ丼の元祖「安田屋」が視界に入った。今にも倒れそうなセピア色の古い家屋。ポエム。
         安田屋 
         元祖の店の佇まい
         安田屋① 
         食堂には見えない

平日だというのに、十人ほどの行列。「オレ、行列に並ぶのは初めてだよ」そば仙人がボヤく。「名物のわらじカツ丼を食べるにはこのくらいの行列はフツーよ」肉好きのシバの女王が最後尾に並んだ。村長も行列は嫌いだが、ここまで来たからには諦めが肝心。

20分ほどの待ち時間で店内に入る。田舎の食堂そのもので、むしろ殺風景な昭和の世界。テーブルは7つほど。見えないが、奥が厨房になっているようで、そこから豚カツを揚げるいい匂いが漂ってくる。
         安田屋② 
         メニューはこれだけ

並んでいるときにやや無愛想な女性スタッフが注文を取りに来て、全員「わらじカツ丼」(2枚入り850円=税込み)を頼んでおいた。隅っこのテーブルに案内され、そこでさらに7~8分待つ。
         安田屋③ 
         昭和が充満
         安田屋⑤ 
         おおおの世界

目の前にドンと置かれた「わらじカツ丼」は、蓋の隙間から豚カツが一部はみ出していた。ドンブリが正統派の磁器ドンブリ。いい風景。豚汁とタクワン付。蓋を取ると、確かにわらじのようなデカい豚カツが2枚、ドンブリを覆うように折り重なっていた。まさに揚げたてで、タレをくぐらせた絶妙な匂いが半径60センチを支配した。食欲中枢が刺激され、生つばを飲み込む。下のご飯は見えない。
          安田屋⑥ 
       ひれ伏したくなる

「すごいわねー。大きいので、一枚は蓋に置いて食べるのがここの食べ方よ」

シバの女王がそば仙人に教えている。村長は濃いめの豚汁をひと口飲んでから、一枚目にかぶりついた。醤油ベースの穏やかな甘辛ダレが利いている。掛け値なしに旨い。サクサク感の残っている薄いコロモと肉の柔らかさがとてもいい。肉の厚さは7~8ミリほどと薄めだが、国産豚のロース肉を使用しているそう。多分ラードで揚げているようで、その旨味が口中に広がる。
         安田屋⑧ 
         よっこらしょ
         安田屋⑨ 
       一枚は蓋へ移動
         安田屋11 
         たまりませーん

店は店主によると、「昭和の初期からやっています」とか。元々は肉屋だったようで、店の入り口に消えかけた「精肉店」の文字が見えた。一枚でも十分に満足できるボリューム。炊き立てのご飯に甘辛ダレがほどよくかかっていて、どんどんかっ込みたくなる。あっという間に半分を食べる。キャベツなど余分なものは一切敷いていないが、思ったほどの飽きが来ない。タクワンがいい箸休めになっている。
         安田屋12 
         タレの絶妙
         安田屋14 
         残りの天国

2枚目で残りをかっ込む。福井のソースかつ丼に似ているが、ベースがウースターソースではなく醤油というのがいささか違う。むしろ新潟のタレカツに近い味わい。だが、その美味さは福井や新潟の名店に引けを取らない。秩父恐るべし。あっという間に食べ終えると、腹周りが2センチほど広がった気がした。

シバの女王とそば仙人がまだ格闘していた。仕方なく男子トイレに行くと、トイレまであの懐かしい昭和の匂いを放っていた。

本日の大金言。

小鹿野町の名物「わらじカツ丼」は店によって若干の違いがあるようだ。だが、元祖「安田屋」は実にシンプル。くせになる美味さで、それ故に人気なのだと思う。行列は嫌だが、一度は食べてみる価値があると思う。暖簾を広げず、初心を忘れなければ、年に数回は通いたくなる。




                 安田屋15 





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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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