駅弁「元祖天むす」の驚き

 名古屋帰りのグルメ友人が駅弁を手土産にウマズイめんくい村にやって来た。名古屋名物「みそかつ弁当」(税込み880円)にオオッとなったが、友人はむふむふと笑いながら、「こっちの方が貴重なんだよ」ともう一つの地味な駅弁を差し出した。それが元祖天むす」(5個入り720円)だった。

三重県津市「千寿本店」の元祖天むすで、若草色の紙包みを解くと、紙経木が現れ、さらに銀紙(アルミホイル)に包まれた天むすが5個、お行儀よく並んでいた。ポエム。夕ご飯には少し早いが、純米酒「花菱」を用意し、みそかつ弁当と元祖天むすを賞味することにした。
         晩飯① 
      みそかつ弁当と元祖天むす
         みそかつ弁当② 
         名古屋名物

みそかつ弁当はそれなりの味だったが、元祖天むすの素朴な旨さに驚いた。天むすの歴史はそう古くはない。昭和30年年代、津市にあった天ぷら定食屋「千寿」初代が、賄い料理として作っていた裏メニュー。海老天をおにぎりの具にしたものだが、その味に惚れ込んだ名古屋の藤森時計店が何度も足を運び、暖簾分け。「めいふつ 天むす 千寿」の名前が少しずつ浸透していった。めいぶつではなくめいふつ。

店舗を広げない、という「千寿」初代の方針で、津と名古屋周辺でしか販売していない。津市の方が「元祖」を名乗り、棲み分けしている。目の前にあるのはその元祖の天むす。
         元祖てんむす 
         元祖天むす様
         元祖天むす③ 
         素晴らしき世界
         元祖天むす④ 
         元祖の味わい

小ぶりだが、海苔で巻かれた天むすは、何よりもそのご飯のふっくら感と透明なツヤツヤ感が際立っている。ガブリと行くと、中から小海老の天ぷらが顔をのぞかせた。おにぎりの塩加減が絶妙で、ご飯の美味さを見事に引き立てている。小海老の天ぷらにも薄く味が付いていて、コロモの食感も冷たくなっているのに、いい味わい。シンプルなのに、実に美味い。
         元祖天蒸す⑦ 
         具は中に
         元祖天むす⑧ 
         ご飯の秀逸
         元祖天むす⑤ 
       キャラブキの存在

添加物をあまり使っていないのも好感。箸休めに添えられているキャラブキ(蕗の佃煮)がいぶし銀で、天むすによく合っている。調布先生おすすめの京都駅の駅弁「魚沼産コシヒカリ 目刺し弁当」にも引けを取らない。いや、それ以上かもしれないシンプルな美味さ。
         元祖天むす10 
      中から小海老の天ぷら
         元祖天むす1 
         絶妙な素朴

このご飯ってどういう米かしら。噛むほどに甘みがあるわ」
「伊賀産のコシヒカリのようだよ。魚沼産に負けていない。目刺し弁当よりは高いけど、1000円以上はする最近の駅弁と比較すると、いろんな意味で原点の美味さとは何かを思い起こさせてくれる。そんな気がするよ」

ウマズイめんくい村の素朴すぎる会話を、グルメ友人はニヤニヤしながら黙って聞いているのだった。食えない奴だよ。

本日の大金言。

おにぎりの素朴な魅力を見直したい。異常な駅弁ブームであきれるほど高級化が進んでいる。日本人よ、どこへ行く? 素朴なおにぎりがそんな問いかけを発している、気がする。



                 元祖天むす11 







スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR