偶然、谷中の隠れ和菓子屋

 今日ご紹介するのは、東京・谷中の小さな和菓子屋。一見うらぶれたような、お世辞にもきれいとは言えない店構えだが、知る人ぞ知る名店だった。だんごもおはぎも美味いが、特に感動したのは豆大福とお赤飯。まさかの坂のさんさき坂の出会い。

2週間ほど前、たまたまさんさき坂(三崎坂)をブラ歩きしていたら、地元のおばはんが数人、その和菓子屋の前にたむろしていた。近くには岡埜栄泉など老舗和菓子屋がある。だが、この店はそうした格式のある店とは違っていた。白い日除け暖簾の下にはご高齢の店主が一人、おばはんたちと雑談しながら、だんごやお赤飯を売っていた。セピア色の昭和の風景・・・。
          荻野① 
          隠れ名店

看板が目立たないので、店名を探したら、ようやく「御菓子司 荻野(おぎの)」という文字が見えた。おばはんの一人が「あら」と村長に気付き、「ここは美味いわよ。おはぎばかりじゃないの。おだんごとお赤飯もおすすめよ。総理大臣やっていた中曽根さんとか小泉さんとかもここのファンなのよ」と下町言葉で言った。うむ。

おはぎもだんごもすでに売り切れていたので、ダメもとで「豆大福」(税込み1個135円)を3個ほど買い、ウマズイめんくい村に持ち帰り賞味してみた。絶品だった。赤えんどう豆が特に秀逸で、護国寺「群林堂」の豆大福に引けを取らないと思った。
          荻野 
          敷居の低さ

居ても立ってもいれなくなり、江戸での会議の前に再び立ち寄ることにした。午後1時過ぎと早めだったこともあり、今度はおはぎもだんごも買うことができた。豆大福とお赤飯(1パック320円)も買い込んだ。「今日中に食べてくださいね」と店主。夜遅くなったが、ウマズイめんくい村に帰ってから賞味となった。
          荻野② 
          うむむの世界

焼きだんご(みたらし)と草だんごを食べ、おはぎ2種(つぶあん、こしあん)を賞味、だんごはすでにやや固くなっていて、期待していたほどの感動はなかったが、おはぎは甘さがかなり控えめで、素朴な風味が京都今西軒にも通じるような味わいだった。
          荻野1 
          草だんごと焼きだんご
          荻野2 
       おはぎ(つぶあん、こしあん)

だが、やはり最も感動したのは「豆大福」だった。群林堂の豆大福と比べると小ぶりだが、餅の柔らかさとぎっしりと詰まったつぶしあんの素朴な風味がとてもいい。何よりもかなり多めの赤えんどう豆が素晴らしい。ふっくらと炊かれていて、輪郭が崩れていない。店主の腕前が並ではないことがわかる。好みの問題かもしれないが、赤えんどう豆は群林堂より上ではないか。
          荻野5 
          まさかの豆大福
          荻野6 
            小ぶりだが・・・
          荻野11 
          赤えんどう豆さま
          荻野7 
          おおおの世界

赤みの濃いお赤飯の美味さに村民2号が目を丸くした。やや固めに炊かれているが、噛んだ瞬間のもっちり感と凝縮感がとてもいい。黒ごまもたっぷり。特筆すべきはささげ豆の存在が並のお赤飯とは違った。豆大福の赤えんどう豆もそうだが、ふっくらと炊かれていて輪郭がきりりとしている。
          荻野⑥ 
          お赤飯の実力
          荻野⑧ 
          よく見ると凄味
          荻野⑨ 
          さり気のなさ

「すべての豆をさり気なくこれだけ美味く作れるのは相当な腕で、豆の魔術師とニックネームを付けたいくらいだよ」
「きれいな店構えではないっていうのが面白いわね。どういうキャリアの和菓子職人なのかしら」

「店は50年ほどの歴史だそう。でも凄いのはそのうちの20年は総理官邸の御用達だったようだよ。中曽根さんや小泉さんがファンだったというのもあながちウソではないようだ。後継者がいないようだから、店主の代で終わりかもなあ。悲しいなあ」

「村長がもっと若かったら、弟子入りすればよかったかもね」
「すぐ近くの全生庵で座禅を組んでから考えようかな」
「無理に決まってるでしょ」
「まさかの坂もない・・・」

本日の大金言。

本物は隠れている、かもしれない。「荻野」は上生菓子も作っている。店構えとのギャップに驚くが、店も人間も見かけだけで判断すると間違うこともある。教訓。




                 荻野10 

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

どうでもいいが

あの店を見つけたのは誉めてやりたい。しかし、官邸御用達ではなく、宮家御用達ではないか。機会があったら店主に確認してほしい。もう一つ、護国寺の群林堂より上というのはどうか。あなたの好みだろうが、それが時々ずれていることもある。もちろん、調味料は独断と書いているので、折込済みの批判ということは承知。それなりに面白いブログなので今回は勘弁してやるが、勇み足ということもある。注意したまえ。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR