古都の「訳ありざらめ煎餅」の恍惚

 関東の古都・足利市は好きな街である。室町幕府を起こした足利家の居宅跡や日本最古の学校と言われる足利学校(平成2年に復元)などがあり、鎌倉と並ぶくらいの歴史がある街でもある。彦作村長は行き詰るとポンコツ車を飛ばして、ときにふらりとこの街を歩いたりする。大好きな「古印最中」を買いに香雲堂に入ったり、蕎麦のうまい街でもあり、贔屓(ひいき)にしている「伊とう」に足を運んだり。鎌倉や川越ほどうるさい観光客も少なく、ここに来ると時間がゆったり流れていて、自分自身の来し方や行く末を自然に考えてしまう。そういう場所はあまりない。

               雷神堂⑦ 
          プーンといい匂いが・・・

秋の気配が漂う夕暮れ時、大日大門通りを歩いていて、いつもなら素通りしてしまう煎餅(センベイ)屋の前で立ち止まった。醤油を焦がしたあまりにいい匂いが鼻腔をくすぐったからだ。店の主人らしいオヤジが店じまいしようとしていた。手焼きセンベイが売れ残っていて、その焼いたばかりの余韻が周辺にまだ漂っていた。

                雷神堂⑧ 
          手焼きの割れセンベイ

雰囲気のある店だった。「雷神堂 足利店」。本店はあのおばあちゃんの原宿・巣鴨にある。とりあえず「できたて 1カップ4枚 250円」を購入。「ひと口どうぞ」とひとかけらサービスしてくれた。これがうまい。濃厚な醤油と手焼きの分厚い素朴が、バリバリ音を立てて、口中に夕焼けのように滲みこんでくる。スーパーでいつも買う煎餅とはひと味違う。

         雷神堂⑤ 
         訳ありのセンベイさん
 
さらに、村長の目がピカリと光った。「訳あり煎餅 ざらめ あうとレット」という一角をとらえてしまった。煎餅の中でもざらめセンベイは村長の好物である。しかも「訳あり」とは・・・。かつて、エンターテインメント新聞社時代に、彦作村長は大ボスと経済小説の大作家にお供して、本郷にある「訳ありの女将」の店に行ったことがある。そこで、訳ありの美人女将を見て、胸がキュキュキュンとなってしまった。以来「訳あり」という語感に敏感に反応してしまうようになってしまった。

         雷神堂③ 
         浮いてる?浮かしチーズセンベイ

訳ありざらめセンベイ! センベイにおける訳ありとは、美人女将のように「深くて暗い河に咲いた花」ではなく、単に割れているだけだが、一袋300円という安さも気に入った。「浮かしチーズ」(1枚130円)もついでに購入。ウマズイめんくい村に帰ってから、賞味することにした。

「訳ありざらめセンベイ」は、ざらめがきめ細かくぎっしりとかかっていて、センベイの焼けた香りとコラボして、実にいい歯ごたえで口の中の粘膜という粘膜に「あちきを見捨てないでくれて、うれしいよ」そうささやいてくるようだ。大きさもばらばらで、それがまた次の楽しみと余韻へとつながっていく。どんどん後を引くうまさ。後を引く恍惚・・・。

        ざらめ煎餅  
        あちきだってウマイどすえ

「浮かしチーズ」は、少々甘めの口どけのいいチーズが醤油センベイのパリパリ感と奇妙に合っている。案外、ビールのツマミにもなりそうだ。訳ありざらめセンベイほどの満足度はないが、それなりのうまさ。センベイといえば「赤坂柿山」が最高峰だと思っていたが、値段も含めたコストパフォーマンスも含めて、彦作村長は雷神堂の訳ありセンベイにすっかり骨抜きにされてしまった訳ありに幸あれ! そう祈らずにはいられない。



本日の大金言。

古都にはいつも発見がある。街にも人にもセンベイにも訳がある。人生は訳で成り立っているとも言える。


          足利学校 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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