最中の傑作「みむろ」と再会

 奈良帰りの甘党知人がウマズイめんくい村に手土産(てみやげ)を持ってきてくれた。村長はそのパッケージを見て、胸がときめいた。白玉屋栄壽の名物最中「みむろ」だったからである。甘党知人は余計な講釈をせずにチャップリンの後ろ姿で去って行った。憎めない奴。
          みむろ最中 
          わおーの手土産

胸がときめいたのにはわけがある。その昔、村長がエンタメ新聞社時代のこと、ある会合で、「最中(もなか)はやっぱり銀座の空也が一番だね」と言ったことがある。それを聞きつけた京都のグルメ先生が、そのしばらく後、注釈なしで「みむろ」を送ってくれた。さほど期待せずに食べたところ、あまりの美味さにぶっ飛ぶほど驚いた。グルメ先生、恐るべし。

以来、村長の中では日本三大最中は「一に空也、二にみむろ、三に壺屋」(順不同)となった。その一つが今、目の前にある。8個入りで850円(税込み)のもの。空也や壺屋よりリーズナブルだが、発売元の白玉屋栄壽は奈良県桜井市に本店があり、創業が江戸時代(弘化年間1844年~48年)という老舗。現在の当主は七代目で、最中の作り方は一子相伝だとか。
          みむろ最中③ 
          お久しぶり

さっそくお茶を入れて、賞味することにした。紙箱を開けると、小ぶりの最中がきっちりと納まっていた。取り出しに仕掛けがしてあって、付箋のような紙を引っ張ると、一つスッと出て来た。この気遣い、さすが奈良の老舗と感心する。
          みむろ最中④ 
          この気遣い

皮がサクッとしていて、実に香ばしい。柔らかいのに形が崩れていない。壺屋のような固い鎧(よろい)のような皮ではない。むしろ空也の皮に近い。さらにあんこが秀逸。地元奈良の大納言小豆を使用していて、こしあんと粒あんを別々に作って、それをブレンドしたような食感で、ほどよい甘さ。いい小豆の風味がふわりと広がり、きれいな後味が印象に残る。
          みむろ最中⑤ 
          一子相伝どす
          みもろ最中1 
          皮の秀逸
          みむろ最中⑧ 
          あんこの秀逸
          みむろ最中10 
          最中の横綱

舌の上で溶けていく感触が空也とほぼ同じレベル。水飴と寒天を加えているようで、それが独特のねっとり感を産んでいる。塩の感触はない。

「品がいい味ね。吉祥寺の小ざさの最中とも似てるわ。確かにいい味ね」
「逆だよ。小ざさがみむろに似てるんだよ。空也だってみむろほどの歴史はないよ。ま、壺屋はもっと古いけど」

「どっちでもいいわよ。そんなことに妙にこだわってるから、村長は出世しないのよ。歴史よりも今が大事なのよ」
「最中の一軒家の気分・・・」

「はいはい。そんなダジャレ、誰も笑わないわよ。もっと稼いでからあれこれ言ってくださいね」
「空也くわず・・・」
「・・・・・・」

本日の大金言。

たかが最中、されど最中。その中に詰まっている職人の歴史と技とささやかなプライドこそが、未来へとつながると思う。わん、わん。


                 みむろ最中11
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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