骨董品の中で「元祖かつ丼」

 クリスマスも無事終わり、後いくつ寝るとお正月という時期になってしまった。何ということだ。反省を込めて、今日取り上げるのは、かつ丼界の東の大関(勝手にそう言わせていただきます)「かつ吉」水道橋店の元祖かつ丼、である。1600円と安くはないが、ちょっと驚くかつ丼である。
          能楽堂① 
          早くも門松

観世流謡曲のお師匠さんからチケットを頂いたので、行かなきゃ損とばかりに、本郷の「宝生能楽堂」へ。室町時代からほとんど変わっていない能の世界には個人的にも関心がある。行列の後ろに並ぶことになったが、開演まで1時間ほど時間がある。ちょうど知り合いの兄弟子がいたので、ちゃっかり席を取ってもらうことを頼んで、中抜けすることにした。こらこら。
          かつ吉① 
          とんかつの名店

目的はすぐ近くにある老舗とんかつ専門店「かつ吉」のかつ丼。水道橋東口から白山通りに出てすぐ。全水道会館地下にある。ここは創業が1962年(昭和37年)。あの三島由紀夫や川端康成も来ていたそう。どちらもすでにこの世にいない。
          かつ吉2 
          幽玄の世界へ

とんかつが有名だが、ここのかつ丼も捨てがたい。「柳川風かつ丼」などかつ丼だけで数種類ある。むろん村長が目を付けて頼んだのは基本の「元祖かつ丼」(赤だし味噌汁、サラダ付き 1600円=税込み)。
          かつ吉② 
          現実の世界

店に入った瞬間、驚かされるのは新潟地方から移築したという古民家の造りと、骨董品の数々。年代物の獅子頭や書画が飾られていて、周囲の棚には江戸・明治期のそば猪口が大量に並べられている。その重厚さ。これじゃ骨董品に囲まれて食事するようなもんだよ。
          かつ吉③ 
      江戸・明治にタイムスリップ
          かつ吉11 
          にらまないでね

正午5分前だが、どんどん客が入ってくる。テーブル席や小上がりのお座敷もあるが、村長が座ったのは丸い欅(けやき)のカウンター席。目の前に大きな獅子頭がある。こちらをにらんでいる。案外ポエム。絶景かな。
          かつ吉④ 
          漬け物と千切りキャベツ

10分ほどの待ち時間で、おしぼりとほうじ茶が来た。続いて大きな木のボウルにたっぷり盛られた千切りキャベツ。生ワカメも混じっている。「ドレシングはお好きなものをおっしゃってください。それとお漬物はご自由にお取りください」スタッフの対応は丁寧で、悪くない。
          かつ吉3 
          シテとワキの登場
          かつ吉⑦ 
          元祖かつ丼さま

それから5分ほどで、「元祖かつ丼」がやって来た。有田焼のドンブリが大きい。木のお椀の赤だし味噌汁が隣に置かれた。こちらもデカい。かつ丼に蓋(ふた)がしていないのがやや残念だが(蓋を取る楽しみがない)、かつ丼は昭和の定番スタイルで、溶き卵と三つ葉、刻み海苔がいい具合に盛られていた。いい匂いが立ち上がっている。
          かつ吉⑧ 
        肉の厚さ約2センチ

その下のとんかつは分厚い国産ロース肉で、自家製パン粉の具合がいい。箸の他にスプーンが付いていた。まずはとんかつをガブリと行く。ロース肉の柔らかさと出汁の効いたツユが薄味で、バランスが素晴らしい。玉ネギは少な目だが、ほどよい。スプーンが置かれた理由がすぐにわかる。ツユがかなり多め。炊き立てのご飯がつややかで、自然な美味さで、スーッと胃袋に飲み込まれていく。食材にかなりこだわっていることがわかる。
          かつ吉⑨ 
          た、たまらん
          かつ吉4 
          絶妙でんな
          かつ吉6 
          ツレは野沢菜
          かつ吉5 
          人生はこれから?


ボリュームも結構ある。キャベツの鮮度、漬け物も美味。骨董品に囲まれて食べるかつ丼、その後の能舞台。しかもクリスマスの日。見ようによってはハチャメチャの世界。これもええのう、などと愉悦に浸っていると、突如携帯が鳴った。「おーい、早く来ないと始まっちゃうよ」先に能楽堂に入っている兄弟子からだった。夢かうつつか、慌てて立ち上がった。大急ぎ。そのせいで「元祖」の意味を聞き忘れてしまった。カツ!

本日の大金言。

師走にかつ丼はよく似合う。富士に月見草よりこっちが好き。豚児の言葉に深い意味はない。



                   かつ吉10 



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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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